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Author: 榊原 枝都子
Summary: 恋愛の容(かたち)は人それぞれ、100人いれば100通りの想いがある。
ましてお互いに大切な人を亡くした二人であれば、その想いは複雑さを響(きょう)う。
いつもの日常を失った僕と、最愛の人を亡くした彼女、偶然は必然となり運命という言葉に二人は操られていく。
現実の二人の距離は、手を延ばせば触れ合う事の出来る距離にある。
だが、本当の想いの距離は、儚く遠かった。
まだ僕らは、スタートラインにすら、立っていないのと同じだった。

Prologue プロローグ
僕は、念願の高校に幼なじみと共に受かった。
入学式の6日前、僕はある河川敷の公園でアルトサックスの音色を耳にする。
そこにいたのは、金色の髪を後ろに束ね小柄で、まるで妖精のような女性だった。
彼女の奏でるアルトサックスの音色は、僕の心を今までにないくらい揺さぶった。
僕は、およそ1年と3ヵ月の間、彼女に一方的な恋をする。
彼女の奏でる音色は、どこか切なく悲しい。
想えば、想うほど、彼女の苦しみが僕に伝わってくる。
「告白」彼女のある一面を目にした僕は、自分の不甲斐なさを思い知る。もう一人の心の声と共に。

そんな想いの中、両親は、僕一人を残してこの世を去った。
引き取り手のない僕を「Cafe Canelé カヌレ」のオーナー兼パテシェの彼が身元を引き受けてくれる。
だがそこは、僕が想いを抱く妖精のような彼女の家だった。
運命、この言葉はいたずらの様に僕を新たな生活へと導く。
彼女と一つ屋根の下、僕の心はもどかしく揺れ動いた。
とめどなく、流れる雲の様に。
Price: Free

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