表紙として描かれた場面が、冒頭と結末のいずれなのか、それとも全く別の場面なのかといろいろな見方が出来る作品です。
文中に何度もでてくるクリスマス・ツリーを描かずに、ここまで物語を描写している点に作者のとりくんさんの表現力の高さを感じます。

白雪姫がとても可愛らしく描かれており、その可憐さや純粋さが透けるような綺麗な肌に表れています。物語の重要なアイテムである真っ赤な林檎を規則的に配置した背景も素晴らしいです。

繊細なタッチで描かれた人魚姫の悲しげながらも美しい表情と抜群の透明感に目を奪われてしまいまいした。姫の周りをたゆたう布の柔らかさが綺麗なグラデーションによりとても上手に描写され、物語のもつ神秘的な雰囲気が見事に表現されています。

細かく書き込まれた線がこちらの不安感を煽っており、主人公の絵に対する狂気にも似た執着心が上手く表現された作品です。梟や牛車など物語の内容も盛り込まれており、物語ととても良くマッチしています。

タイトルのフォントと配色のバランスが非常に優れており、優秀賞に選出させていただきました。構図とシンプルな色づかいが赤いくつをより一層引き立てていて、ストーリーをとてもイメージしやすい作品です。

空を見つめる少女の、儚げであり美しくもある表情がとても魅力的です。タイトル部分もふくめ、表紙全体を彩る鮮やかな色づかいに、作者であるLisaさんのセンスが感じられる作品です。

互いに背を向けあう男女２人という構図に物語性があり、どういう内容なのかと読み手の想像が膨らみます。石畳と背後の建物が当時のヨーロッパを彷彿とさせ、「舞姫」をもう一度読んでみたくなる素晴らしい作品です。

寒色系で描かれた上部と暖色系で描かれた下部が、バランスよくまとまっています。星空を背景に走る列車の幻想的な雰囲気が表紙を通して伝わってくるとても魅力的な作品です。