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小説表紙『想思華~悠久の唄~』 LEVEL 4

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3 years ago

  • 小説

  • Japanese_style

  • 表紙

  • 和風ファンタジー

  • 転生

小説『想思華~悠久の唄~』著・天月天兎さん
https://estar.jp/novels/19720530
小説表紙描かせて頂きました。

***********

愛しいひと。

 生まれ変わって、
    きっと貴方の元へ―――…

*****

「……あ、の…」

 僕を見つめる瞳は、まるで彼岸花みたいに赤い。その瞳が、ただただ僕を見詰めて離さなくて―――。

 僕も目が離せない。

 何だろう…、何か言いたいのに、言葉が出ない。目も離せない。動く事も、出来ない。

 心臓がドキドキして、胸のずっと奥がキュッとなって、頭の中が熱い。ぼうっとなって、何も考えられない。

 この人は、いったい誰―――?

 ふと気付くと、自分の頬が冷たい。

 閉じる事さえ忘れた僕の目からは、何故かポロポロと涙が溢れていて―――…

 慌てて拭おうとして、僕のものでは無い手が伸びる。

「………………っ」

 息を飲んだ。

 差し出されたその人の手は、ほんの少し冷たくて……でも、優しく優しく涙を拭いてくれた。

 知りたい…!

 強烈にそう思った。

 この人の事を知りたい。月の化身の様な人。彼岸花の様に赤い瞳を持つ人。冷たいけれど優しい手の持ち主―――。

 涙が止まらない。

 その人が、何度拭いてくれても次々と溢れてくる。

 貴方は…誰?

 そう問い掛けようとして、急な頭痛が僕を襲った。耳鳴りが酷くなって、胸の締め付けが強くなって。

 ―――唐突に、僕の意識はプツリと途切れた。

 意識を完全に手放す瞬間、その人の唇が何かを囁いた。

 何て、言ったの…?

 名前を呼ばれた気がしたけれど、それは僕の名ではなかった。

 誰を呼んだのだろう。その瞳は真っ直ぐに僕を見ているのに。その唇が紡いだ名前は、いったい誰のものだったのだろう。

 意識を手放した僕に、それを確認する術は無かったけれど―――…




****

*小説お借りしています。

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