鍵っ子 LEVEL 7
96
1,840
Comments
2 months ago
*/10
*You cannot edit these tags
小さなころ、団地に住んでいた。
そして両親が共働きであったので、学校から帰ると家には誰もいなかった。
秘密の場所に鍵が隠してあり、それを使って家に入った。
そういう子供が増えていた時代だった。
その子らは「鍵っ子」と呼ばれた。
なんとなく子供を放置している親を非難しているようなニュアンスがあったように思う。
だが、一人で遊ぶことが好きな自分には何の不満もなかった。多分私はあまり手のかからない子供だったのだろう。
どうして母が働きに出たのかはわからない。パートだったと思う。
家計が苦しかったのだろうか。そういった話は一度も聞いたことがない。決して裕福ではなかったが、子供にはお金の心配はさせないという両親の方針だったのだろうか。
両親ともすでに他界しているので、確かめようもない。
その古い団地は今もある。
仕事の帰りに、車からその団地が遠くに見える。
灯は少ない。住人は減って高齢化しているという噂も聞く。
住んでいた団地の部屋には、誰かいるのだろうか。
別に確かめる気にもならないが、なんとなく、今でも元気で若い両親と子供だった自分が、つつましく幸せに暮らしているような気がすることがある。
この紹介文はフィクションです。
Related
Popular artworks
Level up today