泣く女 LEVEL 7
2 months ago
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「あ、師匠、なに描いてるんですか」
「うむ、ピカソの絵を模写しておる」
「へえ、珍しいですね。師匠、ピカソ好きだったんですか」
「いや、特にそうでもないが」
「じゃあなんで」
「実はワシはピカソの絵がわからんのだ」
「ええ?」
「うむ、いやしくも絵が好きだと自称しておるのに、ピカソがわからんとは、なかなかいえん。正直言ってどこがいいのかわからないのだ」
「確かにピカソの絵って子供の落書きっぽいところもありますよね」
「初期の写実的な絵画は素晴らしいと思うが、彼の真骨頂はそこにはない。そのあとの次々と作風を変化させていった」
「うんうん」
「一見単純に見える作品にも何か秘密があるんじゃないかと思ってな」
「それで模写を?」
「そうじゃ」
「で、どうです」
「やはり、独特で画期的な作品だと感心しておる」
「そうなんですか」
「きっとこの絵を初めて見た人たちは驚いたろう」
「そりゃそうだったでしょうね」
「当時、すでにピカソは高名で世界一有名な画家であった」
「そりゃすごい」
「ピカソが何を描いても評価されていたろう」
「ほう」
「そんな中、見るもの達を驚かせるのが好きだったのかもしれん」
「期待を裏切る、みたいな」
「彼は金も名声も女も好きだったろう」
「ピカソの愛人の数は有名ですよね」
「だが、何よりも絵を描くことが好きだったのだろうな」