挿絵『ろくでなしの君と』
3 years ago
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『ろくでなしの君と』著・ショコリータさん
https://estar.jp/novels/25198376
【P191~ 最終話(26)】
https://estar.jp/novels/25198376/viewer?page=191
挿絵描かせて頂きました。
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「喜多川が寝るまで起きてる……!」
「俺、三時くらいまで起きてっけど」
「さっ、三時……」
夜は十時過ぎにはベッドに入っているなんて言えない空気に、ゴクリと息を呑む。
「が……頑張って起きてるようにするから───だから、これからは俺が一緒に寝てもいい?」
喜多川がもう、寂しい夜を過ごさなくて済むように。
知らない誰かで寂しさを紛らわさずに済むように。
涙声で訴えた透のネクタイを、喜多川がグイ、と引き寄せた。前のめりになった透に反して、喜多川が少し頭を浮かせる。
「お前うぜぇから、どーせ俺が何言おうが聞かねぇだろ」
「……もっと他の言い方してよ」
「うるせぇ、馬鹿眼鏡」
言葉とは裏腹に、喜多川の唇が透のそれを甘く塞いだ。
相変わらず酷い言い草だけれど、喜多川だけの『馬鹿眼鏡』ならそれも悪くないと思ってしまうから、やっぱり自分は大馬鹿者だ。でも幸せならそれでいい。
口も態度も悪い、我が儘で傲慢なとんだろくでなし。けれど本当は、ぶっきらぼうで不器用なだけの優しい男。
そんな最高に愛おしい存在を、透は力いっぱい抱き締めた。
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小説お借りしています。