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『スペインお好きなんですか?』と質問があったので……
特にスペインが好きという訳ではありません。が、しかし、マドリードのミゲル・デ・セルバンテス・サベードラ著の『才知あふるる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』こそ、西洋文学史上の最高傑作だと自分自身は考えています。
セルバンテスの略歴を申しますと……1547年に藪医者の子として生まれ、読み書きを得意とした彼は、ロペス・デ・オーヨスの塾で学びました。が、男を傷つけた科により裁判を受ける羽目に。辛くもローマに渡り、難を逃れる。後、伊駐留のスペイン軍に入隊。翌1571年、世に有名な『レパントの海戦』が起きます。当時、無敵艦隊と呼ばれたトルコ海軍に対し、迎えるはスペイン王フェリペ二世の腹違いの弟君、ドン・フワン・デ・アウストリアが率いる神聖同盟諸国連合艦隊。セルバンテス自身も部下を率いて奮戦するが、左腕に敵弾を受け負傷する。この一戦、連合艦隊の勝利に終わり、トルコの東地中海覇権の野望は露と消える。総司令官を務めたドン・フアン・デ・アウストリアはキリスト教世界の救世主として崇め奉られ、一躍時の人に。後には、イングランドの干渉に対抗する為、ネーデルランド総督に抜擢。更にはスコットランドのメアリー女王との婚姻話も取り沙汰されて……さて、隻腕となったセルバンテスは、ナポリ総督セッサ公爵の推薦状と、アウストリアの、フェリペ二世に宛てた推薦状の二枚を携えて、意気揚々と帰国の途に着きます。何かしらの公職に着けると、明るい未来が待ち受けているようでしたが……所がどっこい、不運にも、船がアルバニア人の海賊船に拿捕されるという一幕に。アルジェリアでの五年に渡る捕虜生活の始まりである。
と、ここまでがセルバンテスの前半生です。残りの後半生は実に苦難の連続でしたが、名著『ドン・キホーテ』が産み出されました。興味を抱かれた方は、岩波文庫から出ていますので、是非買って読んでみて下さい……と言いたい所ですが、止めといた方がいいでしょう。スペイン語科の学生でさえ、(スペイン語の原典ではなく)日本語訳された物に挑戦して、大半が途中で挫折して、読むのを諦めると言われる程、厄介な文章だからです。特に序文からして、古典に関する蘊蓄とソネート(十四行詩)の嵐で、チンプンカンプン。これが先ず第一に鉄の城壁として立ち塞がります(『真・三国無双』で言えば、ゲームスタート時にいきなり『虎牢関』で始まって、ステージ初っ端から呂布が出現しているようなものです。クリア不可能です)。第一章が始まっても同じ調子。第二章で冒険の旅に出立しますが、災難に会い満身創痍に。第五章で村に逆戻りして、振り出しに。また一からやり直しで、物語が一向に前に進みません。この時点で、もううんざりです……とまぁ、こんな具合ですので、どうしても一読したい方は、図書館で借りて読むのが無難だと思います。

嗚呼、そういえば毎年この時期になると、村上春樹のノーベル文学賞は?とか騒がれますね。一体何時になったら受賞するのか? 皆さんはどう思いますか? 自分は受賞自体無理だと思います。何故なら、(カタルーニャ人には馬鹿にされている)ジョージ・オーウェルが書いた『1984』を捩って、『1Q84』とかいう本を出して悦に入っているようですから。まぁ、今年はシンガーが受賞したぐらいだから、将来可能性が無きにしも非ず……尚、ボブ・ディランに関しては、当の本人が今回の受賞を快く思っていないようなので、良識有る人物だと思います。

㊟今回はコメント無用です。火の粉を浴びないようにしましょう。

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