タイムケンネル第17回。
3 years ago
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キヨ「77年前のサイパン島にお願いします。どうしても説得したい人物がいるので。」
ショムロン開発部長(准将)「良いだろう。」
(ブーーーン、タイムワープ!)
キヨ「こりゃあもうサイパン島も陥落寸前だ。南雲中将、あなたに会いに来ました。」
南雲忠一司令官「私はもう覚悟ができている。家族にも別れを告げてここに来た。」
キヨ「あなたは2年前のミッドウェイで、米軍のニミッツ艦隊に手痛い敗北を負った。それ以降あなたはもう、死に場所を求めている。」
南雲「天皇陛下の貴重な空母をほとんど失い、陛下の赤子を見殺しにした。もはや弁解の余地はない。そして今サイパンが落ちれば、本土空襲は避けられない。」
キヨ「確かに後世、あなたの評判は芳しくない。だが私はあなたのことを、よく健闘したと思っている。作戦も間違っていなかった。」
南雲「敗軍の将になんの言い訳があるのか。」
キヨ「あの時米軍が圧倒的だったのは、米軍が我が国の暗号を解読していたこと、それから「ヤギレーダー」と言う優れた索敵装置を実用化していたからです。武士道の敗北ではなく、裏方の合理的な技術開発の軽視で敗北したのです。」
南雲「ヤギレーダー?」
キヨ「東北帝大の八木博士が発見した原理ですが、皮肉なことに米国が先に実用化してしまいました。」
南雲「どうりで我が艦隊や航空隊の行くところ、いつも待ち構えられていたわ。」
キヨ「もし山口多聞少将の献策を採用していても、結局敗れたでしょう。」
南雲「話は分かったが、ミッドウェイの責任は、だれかが負わねばならぬことだ。」
キヨ「あなたは最初からそのつもりで、山本五十六長官、古賀峰一長官の後任の指名を、固辞し続けました。」
南雲「もう良い。副官、介錯をお願いします。」
(ブーーーーン、帰還)
キヨ「潔い武将だった。」