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なんでも切れる剣

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5年前

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タロウとゴン太は、“なんでも切れる剣”を手に入れた。

本当は、「真の勇者にしか抜けない」との伝説の剣なのだが、タロウはいとも簡単に引き抜けた。

結局、「伝説の」という言葉を恐れるあまり、いままで、誰も引き抜こうとはしなかっただけなのだ。

むろん、タロウは、真の勇者でもなんでもない。


「これで、なに切るべ?」と、タロウはゴン太に相談する。

「ヨーカン食いて」と、ゴン太は食べ物のことしか眼中にない。


そんななか、剣を引き抜いたタロウのウワサを聞きつけた村人たちは、ひそかに期待をよせていた。

この村で、悪業を仕切る“悪魔ドラゴン”を、彼が成敗してくれるのだと。

だがタロウは、命をかけて悪魔ドラゴンと戦う気など、ことさらない。
 
絶対行かないけど、倒したところで「ありがとう」と、お礼を言われるだけ。

タロウは、面倒くさいことが大嫌いなのだ。


そこで、とりあえずなんでも切れるのなら、ためしに硬い岩やダイヤモンドでも切ってみるか、と考えた。

考えて5秒後、それのなにが面白い? と思い、やめた。

ゴン太の言う通り、ヨーカンでも切って食べたほうが、有意義である。


「うーむ」と悩む、小一時間。

突如、伝説の剣がパチパチと火花をあげ、光り出すではないか。

そして、剣はみるみるうちに錆びていく。


どうやら、なんでも切れる剣だけに、“使用期限”を切ってしまったらしい。

めでたし、めでたし。


〈解説〉

なにがめでたいのか、かわからんお話。

絵も文章も“くだらないテイスト”で、ございます。

今日、朝起きたら、頭にこのストーリーが浮かんだのです。

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