小説表紙『神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~』 LEVEL 2
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5 years ago
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小説『神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~』著・一茅 苑呼さん
http://mecuru.jp/novel/25413
小説表紙描かせて頂きました。
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強く押さえつける指の間を、無情にも流れ続ける鮮血。
咲耶は何度も何度も、お願い、と、声に出す。頭にはハクコの真の名が浮かんでいた。
(届いて、お願い──)
声にならない、叫び。
心から呼びかける、真名なまえ。
(あなたの、名前は)
魂が乞こう、愛しい響き。
夢のなかで幾度も繰り返した、呼びかけ。
*
『……それが、私の名か』
青い瞳が、咲耶を静かな眼差しで見つめてくる。傍らに、先ほどまで自らの身体を貫いていた矢を、落として。
「身体……もう、大丈夫……なの……?」
『お前の“神力ちから”で、再生された』
信じられない思いで問いかければ、信じられない答えが返ってきた。
──咲耶の“神力しんりき”。
治癒と再生──それが、『白い神の獣』が象徴するもの。“花嫁”が、代行する力。
『咲耶。もう一度、私の名を呼んでくれ』
(*小説お借りしました