シンデレラの魔法
3 years ago
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一瞬限りの青春をシンデレラの12時までの魔法に似ていると思い、制服と掛け合わせました。コスモスにはない青や水色を使うことで神秘的な雰囲気を出しつつ、白色で純粋な乙女を表しました。教会は、お気に入りの公園の教会を参考にデザインしています。
イラストの背景
学生服をまとった青春。友達との遊び、勉強、部活、そして恋……卒業の時まで全力だったなぁ。
この時は、近くの教会でキレイなコスモスが咲いていて、シンデレラになりきることができたんだったよね~。楽しかったなぁ。
「叶うならもう1度戻りたいな。なんて……。」
あの頃から10年経つことをきっかけに高校時代のアルバムを開いてみたら、ついつい鑑賞に浸ってしまった。
コトリと音をたてて、男性がコーヒーの香りと湯気を漂わせたマグカップを2つテーブルにおいた。
「それは、困るなぁ。」
アルバムをのぞき込んだ男性は、そういいながら隣のソファーにいつも通り座った。
「あの頃もいいけど、僕は今が1番幸せだからなぁ。」
そう言いながらそっと抱きしめられる。顔が近い。未だになれない距離感に頬がカッと熱くなってしまう。
「あっ……あの、もうそろそろ離れていただけると。」
そういえば、ジトッとした目で男性ーー彼氏が少し離れて見つめてくる。
「こんなことで大丈夫なのだろうか、僕の花嫁さんは。」
「うっ、あのですね、そのですね。」
慌てれば慌てるほど頬が熱くなる。実を言いいますと、先ほどの写真に出てきた教会で近々結婚式を挙げる予定なのですます……はい。誰がかというと、私と彼が。
「これはなりきれるだけだったけど、今度は本物のシンデレラにしてあげましょう、姫。」
クスリと笑うと、彼はそう呟きいた。よくこんな恥ずかしい台詞を言えたのものだ! と思いつつ、まんざらでもない私姫は、
「お願いしますね、王子」
そう返した。
そういえば、あの頃も楽しいことばかりじゃなくて、将来の不安でいっぱいだったな。そんなことを思い出した私は、高校生の私と今の私に勇気のでる魔法をふわりと掛けた。