Social Networking Site for Posting Illustrations and Manga - ART street by MediBang

Latest ネオクラ’s art
Comments

秋の装い

Favorites 0
Views 53
Comments

3 years ago

  • doodle

  • うちのこ

少し涼み始めた秋頃。
オレは適当な時間に街中を散歩していると、オレのチームメイトで友人のハーネスがオープンカフェで、何か本を読んでいた。遠目から見て写真や長文が見えるから雑誌か?
ま、わざわざHMDを使わなくてもいいか。

オレは真っ先に「なー、ハーネス。」と声をかけた。

彼は日差しがよっぽど眩しいのか、少し睨みつけるような目つきで「ル、ルーベン…隣に来なよ。その位置じゃ眩しい。」と一言。
オレにとってこの陽射しの強さは…直視しなければそこまで強くないと感じる。

あと近づくと体に染み付いた硝煙の匂いに交じって、ほんの少しだけ独特な金属臭がした。
なんだろ、日焼け止めを塗ってるのか?

そして何を読んでいるのかと思えば、月刊のファッション雑誌。
まあハーネスは動きやすさも重視しつつも、そこそこ洒落た服装をしがちだ。
特に休日はトレンドに基づいた服を着ていることが多い。
目に見えてわかる位に体が強靭だけど、ルックスはいいからな。

でも何故こうも装いを気にするのか、オレは気になって聞いた。
あ、結構軽いノリで。
「俺いっつも思ってる事があってさー、ハーネスって割と装い気にしてるだろ?あれ何でなんだ?」

彼は少し溜息混じりだが、にこやかに話す。
俺よりずっと歳上だから
「ホント元気でいいなあ、君は。
僕は普通の日常を噛み締めたいだけだよ。
社会的、生命的に半分死んだ奴のささやかな娯楽さ。」
この時のオレはシャドウの何たるかをあまり知らなくて、何故半分死んだと言いきれるのか…。
あまり想像できなかった。

彼は雑誌をパタンと閉じ、机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきて威圧的に話す。
「想像してみなよ。
体が悴む冬の寒さ、怠惰するような夏の暑さ。
そんな鬱陶しい気温もある日突然感じられなくなった奴の事。
陽射しを浴びるだけで酷い火傷を負う辛さを。」
オレは気温を感じられないという辺りで何となく察してしまった。
「あー、だいたい分かった。
リビングデッド的に無理やり生かされてるのか。
夏のくそ暑い時なのに、汗水垂らさず平気な顔して厚着着てる奴って…大体そういう事だろ?
あと曇り空でも日除けの帽子をかぶってるのも…。」

彼はうんうんと黙って頷くばかりだった。
変異って本当に怖いな…。

    Next artwork

    Latest ネオクラ’s art

    CREATOR RANK CREATOR

    絵描き
    ネオクラ

    Related

    Popular artworks

    Level up today