青春の賭け LEVEL 3
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3周前
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彼女はクラスメートと賭けをした。
今月中に、初雪が降るかどうかというものだ。
彼女は「降る」方に賭けた。
この地方は太平洋沿岸で温暖であり、ひと冬の間に積雪することは、せいぜい二、三日だ。確率は低いといえた。
彼女の学校は海岸に近い丘陵地帯にあり、坂を登ると眼下には伊勢湾と対岸の三重県の山脈もよく見える。山頂はうっすらと白くなっているようだ。その雪を降らせた雪雲が強風でこっちに飛んで来るんじゃないかと、彼女は考えた。
負けたら学食で昼食をおごる、というのが賭けだ。
もう今月も終わりに近い。
「やっぱ、無理かなあ」
彼女はその「クラスメート」が気になっていた。
冗談で雪の話をしている時に、賭けることになったことを、彼女は喜んだ。
「雪だ!」
空から一片の白いものが降って来た。
「やった、やった!」
彼女はその白いものを、つかもうと両手を広げた。
はたして、それは本当に雪だったのか、近所の野焼きの灰だったのかはわからない。
それが初雪だったのかは、問題じゃなかった。
初めて一緒に食事ができる。
それだけで彼女の勝利なのだ。