旅立ち
17
380
Comments
7 years ago
*/10
どこかの街の中心に 古いバス停があった
ある時から 三日月の良く見える夜に
ひとりの男がそこで待つようになった
かつては大勢の人が乗り降りしていたバス停だった
時が経つにつれ 人々は離れていった
そこから見える星空は格別で
街の灯りが煌々と輝いていた
男はその光景が好きだった
霧が深い夜に月は白く光りを放った
そばには小さな灯りが寄り添っていた
誰もいない街にバス停はあった
何万回も同じ夜明けの光りを見送った
あくる日 男の姿は消えた
めずらしく昼間に大きな流れ星が
青空を駆けていった そんな日だった