彼がそこに居た証
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コメント
7ヶ月前
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「彼らの存在が幻ではなかったと、この写真だけが唯一の証なんだ━━」
そう話す老人が見せてくれたものは、色褪せ汚れた一枚のポラロイドだった。
かつての森人達は自然と共に生き、その魂が還る場所も森だったと言われる。また、森人が居なくなった森はやがて潰えるとも。
森人は文字を持たない。
文献はおろか関連する記録もほとんど残らない中、ようやく口伝を便りにかの老人に出会えた。
「お住まいはどちらだったのですか?」
「私は生まれてこの方、一度もこの土地から離れたことはないよ」
私は言葉を失った。
窓から見えるのは無機質なコンクリートの壁。聞こえるのは鳥の歌声ではなく、工事音とクラクション。
森が森人を必要としなくなったのか、守人が居なくなった森が果てたのか…もはや知る術はない。
━━━━━キリトリ━━━━━━
お話が自然と浮かんでくるような、素敵な線画で塗っていて楽しかったです☺️