連続漫画「タイムケンネル」第06回。 LEVEL 1
3년전
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ショムロン開発部長(准将)「キヨ、君は日本人の最初のヒストロノートだ。どこか行先に希望はあるかい?」
キヨ「140年前の日本、ちょうど明治維新が一段落したころの東京にお願いします。」
(ブーーーン、タイムワープ!)
キヨ「あ、福沢諭吉先生。」
諭吉「いかにも福沢だが、君は誰かな。大隈重信さんのところの手代かい?」
キヨ「はい、そんなものです。」
諭吉「どうして私が福沢だと分かったのだ?」
キヨ「そりゃあもう、1万円札の顔ですから。」
諭吉「1万円、そんなお大尽でも持てないような大金が、証文1枚かよ?」
キヨ「いろいろ物価が上昇しまして、今では1万円では米俵1つ買えません。」
諭吉「それにしてもそんな紙切れ1枚、私だったら日銀に行って、金塊と交換してくるがな。」
キヨ「それがもう札は金に替えられないのです。」
諭吉「金に替えられない?そんな空証文など恐ろしくて使えないわ。」
キヨ「そこはお互いの信用と言うことで、やっています。」
諭吉「ところでお前の時代では、世界はどうなっているのだ?」
キヨ「はい、アメリカとロシアが2大強国です。」
諭吉「ロシア?」
キヨ「先生の「学問のすすめ」では「モスコビア」と呼んでいます。」
諭吉「ああ、あんな北の国がそんなにすごくなったのか?」
キヨ「共産主義革命と言うのがあって、最初のうちは躍進しました。」
諭吉「私は常々、「天は人の上に人を作らず」と言っているが、それが実現したと?」
キヨ「まあ、そんなものです。 ところで先生の出身地の大分県の中津は、今は鶏のから揚げで有名です。」
諭吉「中津にろくな思い出はないが、ニワトリなどどこの家でも放し飼いにしてるだろう。」
キヨ「それでも今、唐揚げと言えば中津です。今1パック持ってきました。それからこれが1万円札です。」
諭吉「ふーん、結構珍妙な味だな。それにこの私の肖像画は浮世絵のようだ。」
(ブーーーーン、帰還)