小説挿絵『続・桃紅柳緑』
2年前
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小説『続・桃紅柳緑──アイツと一緒にいる意味と、独りでも戦う理由──』著・sakuruさん
https://estar.jp/novels/25776855
p40~ 第三章(2)
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/25776855/viewer?page=40
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「……トラウマがあるんじゃないですか?」
くすっと笑って俺たちの会話に顔を突っ込んで来たのは、朔弥と出会った日に、俺達に朔弥の情報を伝えてきた新入生の柊真だ。
うちの高校に来た一年生で、土方が言っていたように、剣道部に入部してきた。
ちょっとかわいい顔立ちをした、土方にだけ小生意気な口を利く後輩だ。
今日は来るな、と土方に言われていたのに、そう言われると余計来たくなる、と俺達について、土方とアキのバイト先のカフェまでやってきたのだ。
「トラウマ?」
思わず食いつく朔弥に、くすくすと笑って柊真は話を続けた。
「なんでも、小さい頃に、新選組の『池田屋騒動』ってあるじゃないですか? あれを題材にしたドラマを見たらしくて、自分も土方だし、家族からはトシって言われているし、なんとなく親近感もって見てたらしいんです」
土方の子どもの頃の話なんて珍しいからつい身を乗り出して聞いてしまう。
「そうしたら、斬った斬られたの血だらけのシーンが連続で、挙句の果てに、沖田総司の喀血シーン見て、すっごい怖くてトラウマになったらしいですよ。
……まあ、幼稚園の頃の話らしいですけど」
「新選組! めちゃカッコいいよな。俺結構あそこら辺の史実好きでさ~。
ってか、土方ってば、土方姓だもんなあ。まあ、こっちではそんなに珍しくないみたいだけどさ、俺なんか、すげえ羨ましいけどっ! って、土方歳三と土方んちって、血縁関係とかないの?」
妙にテンションの高い朔弥が拳を握りながら、目をキラキラさせて咄嗟に後ろを振り向くと、ヨシユキさんが、顔の前で手を左右にパタパタさせて、ナイナイ、というようなジェスチャーをする。
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小説お借りしています。