双子~ずっとあんたが羨ましかった~
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3 years ago
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『……勉強ができて、誰にでも優しい兄は、昔から皆の憧れの的だった。当然期待されるのは兄の方ばかり。でも、幼い時は兄はオレの自慢だった。だけど、ずっと羨ましくて仕方なかった。
少しでもオレのことも見て欲しくて。オレにできることをずっと頑張ってきたつもりだった。頭が良くないオレでも運動だけはそこそこ出来たから、バスケを極めて。その時間だけがオレのすべてだった。なのに、なのに……。コートから見る景色には、家族も味方も誰もいない。チームメンバーがいるはずの試合。オレは決して一人じゃないはずなのに、家族全員がだれも応援にこない孤独な闘いに過ぎなかった。ゴールを決めることがこんなに複雑な日が来ることをオレはどこかで予感していた。だけどこんなこと知りたくなかった。でも、兄さんだけはきっと。きっと……違うんだろうな。いつでもオレを応援してくれてるんだろうな。……やっぱりあんたが羨ましいよ。でも、信頼してるから。あんたが兄でよかったって思うんだよ』
期待されず羨ましがる彼も、やっぱり兄を想っている。
双子のキズナを絵にしました。