タイムケンネル第15回。
3年前
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ショムロン開発部長(准将)「今日は1200年前の北カフカスに行ってもらう。当時そこに栄えた「ハザール王国」が、なぜか我がイザナエル国と同じくユダヤ教を信じていたというのだが、詳細が不明なのだ。」
ダグ「了解です。」
(ブーーーン、タイムワープ!)
ダグ「ハザール王国のマナセ王ですね。ユダ王国の後継のイザナエル国から来ました。」
マナセ「ユダ王国、と言うことは我が同胞だ。大いに歓迎する。」
ダグ「単刀直入ですが、ユダ王国が滅んでから長い年月が経っているのに、この国はなぜユダヤ教を採用したのでしょう?」
マナセ「良く聞かれる質問だが、私の祖父のオバデヤ王に、夢でアドナイ(神)が現れて、ユダヤ教に改宗するように命じたのだ。」
ダグ「それはあなたの子孫のヨセフ王も、同志である地中海のユダヤ人のマイモニデスに、同様の手紙を送っていますが、私はもっと現実的な理由が知りたいのです。」
マナセ「オバデヤ王は改宗前は、アブデュルと言う名前の、チュルク系のイスラム教徒だった。」
ダグ「なるほど、オバデヤもアブデュルも「神の僕」と言う、同じ意味ですね。そしてオバデヤもマナセもヨセフも、みんな聖書の創世記に出てくる族長の名前だ。」
マナセ「いかにも。現実を言えば150年ほど前に、ササン朝ペルシャがイスラム軍団によって滅ぼされた。そして当時のペルシャには結構な数のユダヤ教徒がいたが、彼らが難を逃れてこのカフカスに移住してきたのだ。」
ダグ「なるほど。ところで聖書と言うことは書の民、それにもかかわらずこの王国は先のヨセフ王の手紙以外、一切の文書も遺跡も残さなくて謎に包まれています。」
マナセ「基本的に狩猟民族だから墓や遺跡は残らないが、交易の要所を握る国として、それなりの契約文書は残した。単に忘れられただけだろう。」
ダグ「その交易の要所を握られたイスラムの民は、快くなかったはずだ。その彼らによる悪口すら残っていない。」
マナセ「ユダヤ教と言っても、一般平民まで改宗したわけではない。風習や兵制は従来のチュルク系のままだったから、特記するほどのこともなかったのではないか。」
ダグ「聖書に書かれていますが、ユダヤ人は紀元前6世紀にバビロン捕囚に遭ったけれども、神は彼らを救済しなかった。そこで「こんな神など捨ててしまえ」と棄教した者も大勢いた。それを知りながらあえて逆に