拝啓夏の君に ショートストーリー LEVEL 3
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3 years ago
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僕は耳が聞こえない。でも生まれつきではなく、耳が聞こえている時期もあった。なぜ、聞こえなくなったのか、医者でもわからない。しかも、不可解な点がある。僕は耳が聞こえていたときの記憶がまるでない。家族もだ。気味が悪くてたまらない。夏の木の下、耳を澄ます。僕の落ち着く時。
僕は昔の僕からの手紙を持っている。
『拝啓聞こえない君に
ねぇ、幸せ? 』
僕は、まだ封を開けていない。