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小説挿絵『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』

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3 years ago

  • 小説イメージ

  • white

  • 挿絵

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小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425

P823~【勇者は捕獲】(28)
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/23984425/viewer?page=823



*****


――完全に油断していたし、そもそも疑ってもいなかった。
 
 
 コーヒーを飲み切った俺は、脱力感と急速な眠気に襲われた。

(なんだ…これ…?)

 紙製のカップが手から滑り落ち、軽い音をたてて床の上を転がる。

 しかし、落としたカップを拾おうにも、もう俺の身体はソファーから立ち上がることが出来なくなっていた。

 まさかと思いつつ向かいの席の兄を見ると、無機的なレンズ越しにこちらを観察する冷静な双眸と目が合い、――その眼差しを見て確信する。

 この体の変調は、兄の仕業であると。 

「てめ…クソあに…き…」

 ブラコンが聞いて呆れる。

 コーヒーになんか盛りやがったな…!?

「無茶な真似をしたらお仕置きだよって言ったよね」

 正しいのは自分だと言いたげな口調だった。当然の顛末だと揺らぎなくこちらを見下ろす瞳がそう語っていた。


頭を振り、額に手をあてがってこめかみを指で押さえても眠気は失せず、意識よりも先に身体の方が負けてソファーの上を滑りおちようとする。

 それを片腕で必死で支え、かすんできた目で平然と端座する兄を睨んだ。

「やりすぎ、だろーが…っ」

 いくらなんでも本気で薬を盛るとか、うちの兄貴はマジ頭おかしい。

「おとー…とに…なに…してん……だ…」

 ――最後まで言い切れたかどうかわからない。
 すでに焦点が定まらないほどに視界が歪んでいた。





****
小説お借りしています。

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