ペン先が紡ぐ夢
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Comments
1 day ago
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「師匠が若いころは、つけペンってのが使われてたんですか」
「そうじゃ、今でもだぞ。見てみろこれが実物じゃ」
「へー、金属製なんだ。で、どこにインクが入ってるんです」
「バカモン、これは描くたびにインク壺で補充するんじゃ」
「へー、ずいぶんと不便じゃないですか。サインペンとかでいいのに」
「未熟者め。このつけペンでなければいい漫画は描けんのだ」
「なんでです?」
「つけペン、特にこのGペンは強弱がつけられる。そこに作家は魂を込めることができるのだ。無論、鍛錬は必要じゃがな。一流のプロが描いた線を見るがいい。息を呑む美しさじゃぞ」
「師匠のアナログ絵じゃあ、ため息しか出ませんが」
「ぐぬぬ、口の減らん弟子だ」
「じゃあ師匠は最近のデジタル絵とかお嫌いでしょう」
「うむ。最初は抵抗があった。しかしじゃ、結局はそれも道具の一種。要は使い用じゃな」
「へえ、意外ですね」
「便利なモノならどんどん使うが良い。何を使ったって、道具が描くわけではない。描くのは人間なんじゃ。お前もサボっとらんで、せっせと精進せい!」
「はいはい」