代理学園第五話 LEVEL 3
1年前
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代理学園第五話
「ゔぅー」
天井に向かって大きく伸びる。
「今日の授業も面白いなー」
そんなことを言いながら、次の授業の準備をする。
その時。聞きなれた電子音が、後ろから聞こえた。
ぴこぴこ。ばしゅん。よっしゃーかったぁ。
かもめが、そうと気づくまで、時間はなかった。
「それ、『スカイバスターズ２』！？」
自分でもびっくりするほど、すぐ声が出た。
かもめの後ろの席は、つきみ。
どうやら彼女はゲーム好きらしい。
「つきみちゃんは推し、誰？」
「ルルァ！！」
本当に、ほんの一瞬で、そう返ってきた。
そのあと付け足しで、あ、呼び捨てでいいよ、という。
(ここまでルルァ推しの人なんて、一人くらいしか...)
(この声…つきみ...ルルァ……まさか！)
「つきみ、やっぱり、〈つきみ〉？！」
「かもめ、もしかして、〈ゆきみ〉？」
二人の声がかぶってしまった。少しの沈黙。そして爆笑。
「そうだったんだ！どうりで声が似てると思ったら」
「あんな熱量のルルァ推し、もう〈つきみ〉しか...」
〈つきみ〉は、いつも四人組でゲームしてるネッ友の一人だ。
「じゃあ、かもめ、ちょっと待ってて。きっと驚くよ」
お昼。学食にやってきた。メンバーは、というと、
「改めて自己紹介するね。わたしは、つきみ。
ゲームの中では〈つきみ〉で、ルルァ推し！！」
「かもめ。ゲーム内で〈ゆきみ〉、シュリン推し」
「透海、ゲーム内で〈toua〉、リリァ推し」
「音猫..ゲーム内だと、〈音猫〉でピスティア推し」
なんとなく気まずい空気になっている気がする。
(あ”ーもうしょうがない、話すか...)
「まさかネッ友4人同じクラスなんてね！！奇跡だよ…」
かもめが大きな声で言った。
「あっ」
「空気重かったから...ね？」
「ぷっ」透海が吹き出した。
「かもめ、そんなお堅くならなくてもｗ」音猫に言われた。
「そだね、考え過ぎてたわ、いつもこんなじゃないよね」
それからは、本当に、色んな話をした。
「あの時、皆早く落ちたのは、入学式があったからなんだね」
「てか3人とも美人過ぎーｗ」「えー、透海も可愛いじゃん」
「あー小テストどうしよ...」「あとでうみ娘に教えてもらお...」
「この必殺技、バフ何盛ったらいいかな？」
「こないだ単発でピスティア来たんだ！」
本当に、楽しくて。この時間がずっと続けばいいなと思った。
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