タイムケンネル第13回。 LEVEL 1
3年前
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ショムロン開発部長(准将)「今日は新たな実験をする。具体的には過去に行って、当時の人をこちらまで連れてくる。20年前に行って、有馬朗人文部大臣(当時)を連れてきてくれ。」
キヨ「分かりました。」
(ブーーーン、タイムワープ!)
キヨ「有馬先生、ここは20年後です。」
有馬「ほう、面白いことを言うね。まあ確かに設備とか会話とか、未来風だが。」
キヨ「先生は今文部大臣として、「ゆとり教育」を推進しておられます。でもそれが今一思い通りに行かなくて、心の中では悩んでおられる。」
有馬「私は間違っていない。現に詰め込み教育の弊害は明らかだ。それにユトリになっても生徒の学力は落ちていない!そもそもアインシュタインだってエジソンだって、天才になれたのはユトリのおかげだ。」
キヨ「先生をこちらにお呼びしたのは、ここ数年「動画サイト」が興隆して、多くのやる気のある人たちが、ユーチューブ等で自主的に先端分野について、先取りした自主学習で成長している様を、見てもらうためです。ただの漁師がピアノの自主練習でリサイタルを開くほどになったり、小学生が独習で数学検定1級を取ったり、ユタボンと言う「不登校宣言中学生ユーチューバー」も出てきています。ネット高校も生徒が1万人を超えました。」
有馬「これこそが私が提唱した「ゆとり」だ。私は時代に先んじすぎていただけなのか。見ろバカどもが、私こそは預言者だ。今の人々はさぞかし私を称賛していることだろう。」
キヨ「それがその様にはなっていなくて。そもそも現場でも肝心の生徒以前に、教師たちがどう指導したら良いか分からず、立ち往生していました。企業の人事担当者も「ゆとりと一芸入試が大学をダメにした」と、今でも言っているほどです。」
有馬「世の中は相変わらずバカばっかりの凡人社会だな。私を誰だと思っているのだ。東大総長から文部大臣になった、上級国民の有馬だぞ。」
キヨ「先生はたしかに理論物理でも俳句でも一流でした。私は先生が天才だとは思いませんが、ずば抜けた秀才ではあったでしょう。でも上級国民だからと言って、全部が思い通りになるわけではありません。ちなみに有馬先生は、現役を引退して間もなくボケ老人になり、自宅はごみ屋敷になります。」
有馬「無礼な、この平民風情が!」
キヨ「もうお時間がよろしいようで。お帰りはあちらです。」
(ブーーー