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短編小説 『魔女の子』①
↑↑このイラストの物語です

元々は星野の見た夢からですが、夢を見た後に書いた記録が途中で終わってたので勝手な想像で描きました
長いのでトピック3つにまとめます(*^▽^*)



____ジリリリ。


ベルの音。すぐに足音が聞こえてくる。





____ガチャ。


その金の装飾のついたドアノブが回すと、夏の日差しが瞳に突き刺さる。




どこだ、とキースは思った。


ベルを鳴らした主が、視界のどこにもいなかったのだ。









「ごめんください」




声が聞こえて視線を下に移動させると、少女が2人、こちらに目を向けていた。


1人は、白金の髪と紺色の瞳。もう1人は、紺色の髪と金色の瞳。





「キース・ホークエンスさんはこちらですか」





まるで正反対なその容姿を見ていると、一歩前に出て、金髪の少女が口を開いた。


紺色の髪の少女が身を小さくしているところを見ると、こちらの方が姉なのかもしれない。




「ああ、私だが‥‥‥」その紺色の大きな瞳に捉えられると、動けなくなるような錯覚を覚える。


「そうですか」彼女はそう答え、金色の長いまつ毛を伏せる。






「キース・ホークエンスさんに、これを見せよと言われたんです」






彼女たちの着ているワンピースの襟についた、青く光る蝶の飾り。


それは、「魔女の後継」であることを示していた。







魔女___および魔法使いは、使役する使い魔のような存在がいる。


「使い魔」と言っても、魔族との契約をするわけではなく、認められた魔女・魔法使い1人1人が使役している動物や虫、植物のことである。


その「使い魔」はその使い手1人1人に決められているのだ。


後継の者を従えている場合、その者は主人が使役している「使い魔」を模した飾りをどこかにつける必要がある。




____青く光る蝶を使役していたのは、「宵闇の魔女」だった。











「これを見せれば、孤児院に入れるって言われて‥‥‥」





かの「宵闇の魔女に子供がいる」という話は、遠い昔に小耳に挟んだものだ。


当時は特に気にもとめていなかった。


むしろデマだとも思っていたくらいだ。私だけでなく、きっと誰もが。


「宵闇の魔女」は、後継を持たない魔女として有名だったからである。




____だが、こうして目の前に現れてしまえば、認めるのは致し方ないだろう。









「君たちは、“宵闇”の後継だね」


「分かるの、ですか‥‥‥‥?」不安そうな瞳で、紺色の髪の少女が初めて口を開いた。


「その飾りが、印なんだ」教えると、2人とも首を傾げる。どうやらよく知らないらしい。






「改めまして、私はキース・ホークエンス。この孤児院の経営者だ」


「リゼよ」と金色の髪の少女。


「‥‥‥‥リズ」虫の羽音のような声で、紺色の髪の少女が言った。




「遠路遥々、よく来たね」


私はそう言って、2人を孤児院へ迎え入れた。








「宵闇の魔女」は北国の遠方の小さな街を統治していたと聞く。


対して、こちらは東の片田舎の隅に位置している。____もちろん、“今は”の話だが。


普通の孤児院のように経営しているところもあるが、この孤児院は普通の人間が入れぬように結界をはり、見えないようにしている。


もちろん、孤児院はここだけでなく、他国や別の地域にもいくつかあるのだが____。






恐らく、戦火を逃れるためなのだろう。


“宵闇”の領地からここまでは、地続きではあるが気が遠くなるような距離だ。


普通なら10日半、転移を使ったとしても、3日はかかる。






ここに彼女たちがたどり着いたとするならば。


“宵闇の魔女”はもう存在し得ない存在となった____と判断するのが賢明だろう。




今、あのあたりは魔女狩りが激化している頃だ。対してこちらは魔女狩りの跡地。


生き残りをかけて、彼女たちをここに送り届けたのだろう。


あの“宵闇”が、そこまで人情を大事にするとは思えないが‥‥‥‥。


ーーーー続くーーーー









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