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代理学園第六話
#代理学園〈小説〉

落書き絵は間に合わなかったのでどうかお許しください

第六話
「ー♪、♫ーー♩~~」

その音が耳に触れた瞬間。少女の身体は身動きが取れなくなった。
少女自身は動いているのだが、身動きが取れない。

そう。つまり、身体が勝手に動いているのだ。

(なんだ…?この声。)

これを歌だと認識するのに、時間がかかりすぎてしまったようだ。
段々と少女の歩みは速くなる。

(私は何しようとしていたんだっけ、えっとたしか...)

「――♪、♬~~」

(まぁいっか、今は一秒でも長く、この歌を聴いていたい。)
少女の歩みは止まることなく、歌の主の方へと進んでゆく。

(あれ、この方向、もしかして...)

少女がたどり着いた先は――――――

「ー♩~~.........あれ、かもめちゃんじゃないですか」

歌が止んだとたん、少女は意識を取り戻した。
(あれ、ここ、寮...?私は、何して......くじら先輩...?)

「くじら先輩...歌ってたり、しました?」
「あ、はい、えっと...歌っていうか、発声?ですかね」

なるほど。彼女は人魚、腑に落ちる。

落ち着きを取り戻し、ベッドに腰掛ける。ていうか私寮に行こうとしてたんだよな。
ふと気になって。

「くじら先輩、どうして発声練習してたんですか…?」

「あれ?かもめちゃん、言われてないんですか…?」
「...?」

「そうですか、...ふふふ、音楽祭が、近いからですよ…!」

☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

次の日。朝の、HRの時間。

「みんなーー!後三週間後に学園で音楽祭があるよ!」
優香里が、今日も元気な声で言う。というか、叫ぶ。

「ただ観るだけもできるけど、コンテスト参加形式でね、
 楽器の部、歌の部と分かれてチーム戦を行うよ」
柊雨が付け加える。

「参加したい人は、このプリントを配るから、ここにチームメンバーの名前と、
 チーム名を記入して俺に提出してね☆」

さりげないウィンク。さすがガチ恋製造機である。

プリントが配られている間、教室が騒ぎ出した。

「え、楽しそう!!あたし、ピアノ弾きたいな...!!」
「あ、じゃあ玲ちゃん連弾やろ~」
「ありがとう瑠花ちゃん!えへへ、練習楽しみ」

「僕瑠奈ちゃんとくじらちゃんとバンドやるんだよねー、メンバー募集中!!
 瑠奈ちゃんがシンセでー、くじらちゃんがベースでー、僕がドラム!」
「おっじゃあ俺ギターボーカルやろうかな…!!」
「え、柊雨くんありがとう!楽しみ...!!」


みんな楽しそうだなぁと、心の中で泣く。そう、かもめは...


生粋の音痴なのだ。


音楽の授業じゃ音外しまくりでいじられるし、ひとたびカラオケに行けば叩き出すのは50点。
ビブラートなんぞ付けようものなら怪物と化す。これでも一応、絶対音感持ちなのだ。

「あー...憂鬱だなあ...」

教室が明るい空気の中、一人だけ陰のオーラを発している。

見かねた玲が、
「かもめ、ピアノ弾けるんだったよね、?一緒に連弾しy...」

「あ、使用できる楽器は、グランドピアノが1、シンセが1、ドラムが1、ギターが3、ベース1、
 トランペットが2、ホルンが2、トロンボーンが2、ユーフォが2、チューバが1、
 クラリネットが1、フルートが1、...」
優香里がかもめに追い打ちをかける。

(鍵盤楽器二つ...)

さらに陰のオーラは増す。

「もう、私観客になろう...」

☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

授業が終わり、寮に戻る。

おもむろにベッドの方を向き、勢いよく華麗にだいぶ。


「ただいま!.........?!」
「かもめちゃん…ですよね?大丈夫...ですか?」

「ハハ...ハ...ハハハ」

「くじら先輩...かもめ、さっきからこんな感じで…」

「ウタ...ムリ。ワタシ、オンチ...オンガクサイ、ホロビロ」

「んん、なんか物騒ですね?!」

☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

「なるほど、なるほど...」

くじらは少し考えこんでから...


「じゃあ、この四人で歌部門、でましょう!」

「え...ワタシ、オンチ...」
「かもめ、卑屈にならないっっ!」
むぅにゃが喝をいれる。

「まぁ、無理にとは言いませんが、成長できる、チャンスなのでは、と。」

「くじら先輩...」

「大丈夫です!わたしと...まくちゃんで教えます!」
「え?!」

「私が教えられることなんて...うん、でも頑張るね!」

「えっと、私はどうしよ?」

「むぅにゃちゃんは...あ。」
「何か、思いつきましたか?」

「もし、よければなんですけど…ゴニョゴニョ」

「「「!!!」」」

「いいですよ!私は大歓迎です!」

「では、明日から早速練習を始めましょ!」

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おまけ

「あ、チーム名どうする?」

「うどんバスターズ、とか?」

「ぷっ、かもめちゃんなんですかそれ...w」
「いいじゃん。うどんバスターズにしよう!w」

そう。この日から三人の脳に刻まれた。

『かもめはネーミングセンスが壊滅的』と。

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