基本的人権ともののあはれは一致します。
　これを書いておいた方がいいと思わされるときがあります。
　古くからの日本の伝統を守ることと、欧米風戦後の価値観と言われる基本的人権の尊重について、「混在」といった言われ方がされたりもしますが、それに違和感を覚えるときがあります。
　もののあはれは、古事記の解読者本居宣長が源氏物語のテーマとして、また神道のテーマとして位置づけたものです。
　これは、関東では軍神化している、伊勢に次ぐ二所宗廟である八幡が仏教と習合して、その例祭のテーマを、仏教の放生会とし、生き物の平安を願うものに近く、それは欧米の基本的人権とほぼ同じものであると考えます。そもそも欧米も新たな諸制度を創設する一方で伝統遺産の保存にも積極的です。また民主主義国家であっても当然のように核保有をしている国もあります。
　基本的人権はもののあはれですし、従って、基本的人権の尊重は日本の価値観と一致するものです。
　よって、基本的人権の尊重を解くことを欧米風とし日本的でないという方が日本的ではないといえます。