星野のリアル夢小説。。。その2
和風ファンタジー✖︎現実✖︎SF?という「S(すごく)F(不思議)な夢」でした✨
途中で変わったと思いきや登場人物がまさかの同じという。。。
▼リアル夢小説その①はこちら✨
https://medibang.com/topic/zd2203151919518640003624768/
▼夢小説②本編です✨
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ボロボロボロのアパート。
中は和室のようでだけれど、茶色くこけているようでよく見えない。
壁はボロボロで、虫に食われたのかところどころ柱のようなものが見えた。
____というところに、私は倒された。
よく分からなかった。
知らない男だった。
そいつは気持ち悪い笑みで私を見つめていて、訳分からずにとにかく「怖い」という思いしかなく、「殺される」と思った。
借金取りか何かなのかもしれない。お金、という単語が耳を掠めた。
恐怖でよく覚えていないが、刃物のようなものを持っていた気がする。
必死の思いで逃げ出して、外へ出た。
「今日は大丈夫だが次に来た時は殺される」とも思った。
快晴。青い空。
本当にボロボロのアパートで、階段の手すりも錆びて落ちてしまいそうなほどだった。
私はすぐそこに警察の車が止まっているのを見て、急いでその車窓を叩いた。
中には警官2人
「どうしましたか」という声に「とにかく中に乗せてください」と必死になる。
追われる、という恐怖があった。
「どうしたんですか」
「脅されて、殺されそうになったんです」
恐怖で怯えながらも、覚えている限りの一部始終を話したけど、断片的なことが災いして、「事件性なし」と判断された。
絶望だった。
どうしようと思った。
次に行ったら、私は殺されるのに。
目の前に助けてくれる人がいるのに、手を差し伸べてくれないだなんて。
絶望感と一緒に、恐怖が募った。
そのアパートの向かい側。
警察車両のすぐ横の小さな2階建ての、古い日本家屋が、私の家だった。
母と2人暮らし。
ちょっと生活は大変だったけど、大学にも行かせてもらったし、しっかり育ててもらったと思う。母さんは毎日働きに出ていて。
平穏だったはずだったのに、そのことが思い出せないほど、自分の家なのに落ち着かなかった。
なんでこんな目に遭ってしまったんだろう、と思った。
私は何もしていないし、
恐怖でよく分からなかったけど、聞かれたことに対して身に覚えもなく、聞き覚えもなかったことだけは覚えていた。
____ドサ。
また、アパートの1室。
「次も来るように」と言われて、数日後か、また訪れた時。
前と同じように畳に押し倒される。
横に刃物。
息ができない。
男は1人。大きくて、恐怖しかない。
ものすごくキレていた。私に会う前から。
目があった途端、私の腕を掴んで引き込んできたのだ。
私はその刃物で、あっという間に着ていた服を引きちぎられて、何も来ていない状態になった。
所々刃物や爪の影響で肌が傷付いて痛い。
そのまま組み敷かれて、「私はこのままこの刃物で刺されて、犯されてここで死ぬんだ」と思った。
そう思うには十分な絶望感と、先日警官から言われた、「あそこのアパートには誰も住んでいませんけど」という言葉。
もうダメだと思ったとき、刃が1本。壁に刺さった。
そこには着物の模様のようなものが入れられていて、身頃部分が色鮮やかに塗られていた。
途中から金色の、桜の枝のような模様が斜めに。
その下は目の覚めるような、綺麗な空色。
ベースは真っ黒、という、なんとも不思議な刀身。
「___なんだ?」男も驚いたらしく、壁に刺さった刀を見つめていた。
私はこの刀を知っていた。
なんでか分からない。初めて見たはずなのだけど、瞬間。とてつもない安心感に襲われる。
「護ってくれる」という、絶対的な安心感に。
「来てくれた」と思った。
それから1秒もたたないうちに、カカカカ、と他にもいくつかの刃が、壁に突き刺さる。
刃の模様はどれも着物の柄のようなものをしていて、鱗のようだったりさまざまだ。
赤が所々入ったのもあるが、オーシャンブルーが基本となって模様を作っていた。
「なんだ貴様」みたいなことを、男が言った。
男がボロボロの服を着ていることに、今更に気がついた。
その言葉は私にではなく、別の空に向かって放たれた言葉だった。
____。
それに対しての言葉は聞こえなかったが、
焦ったのか私に刃物を突き刺そうとする男からサッと私を抱き上げた。
彼が壁を蹴る。
袖をなくした着物のような格好で、左が黒、右が模様の入ったオーシャンブルーの着物。
帯は黒。
下黒のはレギンスのようなものを履いていた。
「逃げなきゃ」と思った。
このアパートの外に警察がいるのは、来た時に確認済みだ。
外に出る。
相変わらずの快晴。
でもどうしたらいいだろう。
真昼に女が裸で歩くだなんて。
こんな状況だから仕方ないのだが、なぜか先ほど切られた部分はさほど目立つわけもなく「襲われた」というよりは「裸で出歩いている」という印象が大きくなってしまう。
そこでふと、右に視線が逸れる。
お爺さんだ。
この前もここに来た時、ニコニコと挨拶をされた。隣の住民かもしれない。
「すみません」と1言入れて、家に入らせてもらった。
私はそこで自分の身体に細工をした。
自分でメイク道具を持っていたのか、おじいさんの家に何か身体に付けられる塗料があったかは覚えていないが、アザに見える跡をたくさん身体につけて、お礼を言って再び外へ出た。
____ドンドンドン。
パトカーの窓を叩く。
服はボロボロで、ほぼ布切れ1枚になっている。
窓に反射された自分を見て、ふと虚しくなった。
「どうされましたか!?」
前とは明らかに違う反応だった。
すぐに開けてくれて、車内に入る。
「そこのアパートで襲われたんです」と言った。前と同じだ。
私の格好を見て不自然だと気づいてくれたのか、対応をしてくれた。
ここまでしないと何もしてくれないんだ、と思った。
ふと、安心した私の視界に、男が入る。
アパートの階段を下ってきている。
「逃げなきゃ」と思った。
彼はどうなったんだろう。
気が気じゃなかった。
どうにかしてパトカーから這い出る。
事情聴取は、まだ途中だったと思う。
急いで家に帰って、服を着て、ありったけのお金と荷物を持つ。
置き手紙をする余裕なんてなかったけど、いつも綺麗な室内が荒れていたら、母さんも何か「とんでもないことが起きた」ことに気付くだろう。
気がついたら車に乗っていた。
グレーに反射する、知らない車だ。
家は貧乏だから車なんてなかったから、私のじゃないと思う。
私は助手席にいて、隣には男の子。20歳くらいかな。
ものすごく綺麗な顔をしていて、スッと長い黒髪と、隙間に覗く蒼の丸いピアスが印象的だった。
名前は知らない。
でも、さっきアパートで助けてくれた人だと思う。
絶大な安心感が、それを証明している。
市役所の駐車場らしきところを抜け、大学の敷地内に入った。
「このあたりかな?」徐行しながら見渡して、彼が言う。
彼の言うことは、私には分からなかった。
「ただ信じて付いて行く」関係性。
「絶対に護ってくれる」「一緒だったら絶対危険な目に遭わない」という不思議なくらいの安心感。
しばらく大学の敷地内を走っていた車が、突然止まる。
どうしたの?と隣を見る。
言葉にはしない。思うだけ。
彼は視線を少しこちらに向けただけで、「大丈夫だよ」と声をかけてくれる。
ものすごく安心する。
大学の棟を結ぶ、連絡通路を目指して、車をすすめていく。
そのまま通り過ぎて中庭に行くのかと思っていたら、左に外れて、ドアの空いた塔の中に向かって行く。
塔の中の、白いタイル張りの床と、数人いる女の子たち。
中にも学生が何人かいる。
大丈夫かな。轢いちゃわないかな。
「大丈夫。ここが入り口だから」
そう言って車を進ませると、あるところでふわ、とした衝撃があった。
シャボン玉のように、一瞬ゆらっと世界が傾いた。
____次の瞬間には、大きなガレージがあった。
そこには6人くらいの男女。
どういうことなんだろう、と一瞬頭が真っ白になる。
アパートでのことでも、頭がついていかないというのに。
「遅いよー」活発そうな女の子が1人、声をかけてきた。
「ごめん、ちょっと長引いた」そう言って、私の方のドアを開けて下ろしてくれる。
「ここなら、絶対安心だから。あいつらは追って来れないし」
彼の1言で、ここから何か始まるんだと、思った。
____これは多分、遠い昔の出来事だと思う。
すごく小さい頃で、別の世界にいた時みたいな、ぼんやりとした記憶。
「思い出」じゃなく「記憶」なのは、窓の中の暖かな光に包まれて母さんと笑い合っている女の子が私だ、という確信があるから。
魂が抜き出ているのか、別の世界線から見ているのか分からないけど、私は大きな窓の外にいた。
細かい装飾のされた、金色の窓。夢の中みたいな光景だ。
私は、私が母と2人で楽しそうに笑い合っていることを確認して、窓を伝って行く。
最初は建物だと思った。ずいぶん高いところから、2人を見ていたせいで。
だけどしばらく窓が続いて、窓1つごとに別の人が中に映った。
とても不思議な感覚。
これから私は「星の声」を聴きに行く。
誰にも知られない、秘密の場所だ。私だけの。
その頃の私は小さくて、まだ5つくらいだったと思うけど。
毎日隙を見ては抜け出して、夜に「星の声」を聴くのが日課になっていた。
道は覚えてない。身体が覚えているから、頭で考えなくてもいい。
瓦礫の道をよじのぼって。裸足で歩いた。
服はボロボロになった、膝丈くらいの半袖のワンピース。
髪は肩につくくらいだけど、___貧しかったんだろうか、何日もお風呂に入っていなくてペシャンコになっている。下の方はボサボサ。
そんな私は石でできた階段を登り、大理石の白いの門の上を通り、宇宙空間のように浮かんだ、「世界の歪み」のようなところにたどり着いた。
___ここが、「星の声が聴ける」場所。
周りには宇宙空間のように星があって、ここに来るまでにもふわふわ浮いている石の煉瓦を飛びながら歩いてくる。
もし途中で大人に出くわしたら、「危険だから行くな」と言われるのは承知の上だ。
遠くの方に、さっき出てきた、母さんと私のいる大きい窓が見える。
ここまではかなりの長旅なのが、その窓の光しか見えない位置にいることで理解できた。
私の目の前か、もっと遠くか。
その辺りにも、赤い建物がある。
窓はない。柱だけ。
でもその建物には行くことができない。
私の今いる場所と、その赤い建物の間には見えない歪みがあって、まるでとてつもなく、気の長くなるような距離を、一気に凝縮しているようだった。
近づくと、磁石のN極同士を近づけた時のように反発するので、先に進めない。
____そういえばさっき、車が建物を通り過ぎた時。
歪む瞬間に同じような感覚が襲ったのを思い出す。
____まぁいいか。
私はその場に腰を下ろした。
石の煉瓦が宙に浮いている場所だけど、ここは少し広くなっていて、おまけに丸いお鍋のような、不思議な形の灯篭のようなものもある。
私はその炎の近くにいつも腰を下ろす。
何もない空間。
何もない時間。
自然の歌声に耳を澄ませる。
ふとそこに浸りながら、彼も連れて来たいと思った。
アパートで私を助けてくれた人。
名前は知らないけど、きっと気に入って切くれるはずだ。
「____どうしたの?」その声に、我に返る。
私を助けてくれた時のそのままの姿で、そこにいた。
顔は、やっぱりよく分からないけど、大きな瞳が印象的で美人だと思った。
髪型はぼんやりとしてよく見えない。
車で隣にいたのも彼だったと、なんとなく確信があった。
服装はあの時と同じ、着物のようなものに黒い帯、着物の下にすらっと伸びる細い脚と、そこから覗く白い足首。
こんなに細くて、どうしてあんなに戦闘能力が高いのか、と思う。
案外力強かったしな、と助けられた時のことを思い出す。
出会ったのはいつだったか覚えていないけれど、いつのまにかそこにいて、私を護ってくれる存在で。
自然と惹かれていったことは言うまでもない。
私がフラッシュバックで落ち着かなくなった時は、「大丈夫だよ」って抱きしめてくれて。
その暖かさにものすごく安心して、支えられて、ここまで来れた。
いつまでも一緒いたいな、と思った。
大好きだと思った。
私は彼の名前を知らないし、彼も私の名前を呼んではくれないけど。
それがとてつもない「安心感」に繋がっていた。
「一緒に行きたいところがあるの」
初めて、声が出た。
自分ではじゃべれないものだと思っていたけど。
「いいよ」彼が瞳を細める。
私たちがいるのは、大きい窓の外だった。
いつの間に私は大人になっていて。なぜかここにいた。
あの金の装飾のついた、大きい窓。
相変わらず、そこからは温かい光が漏れていて。
「どこに行くの?」
「星の声を聴きに行く」
「星の声‥‥‥‥?」そんなの聴けるのか、と瞳を丸くする。
聴けるも聴けないも、実際にそういう場所なのだから仕方がない。
「行ったら分かるよ」
ずっと思ってたんだ。2人で見たいって。
一緒に歩いた。
ものすごく遠い記憶だったのに、案外覚えているものだ。
石の階段にたどり着く。
大理石の白い門が連なっている。
よく見た光景だ。
登っている途中、ゴゴゴゴ、と地響きが轟いた。
何が起きたのか。
周囲の石や瓦礫が、宙に向かって浮かんでいく。
階段がひび割れる。
あと、もうちょっとなのに。
この門の上を通れば。少しなのに。
「____!!」
彼が何かを叫んで、私を庇って____。
ーーーーーーーーーー
。。。というところで目が覚めました(T ^ T)
あの後どうなったんだろうなぁと思うし、
ここまでの間の物語は一体どこに置いてきたんだろうと思いますが、夢の中なのでよく分かりません笑笑
文章を編集したら日時のデータが上書きされちゃったので正確には覚えていませんが、
この夢を見たのは多分、2〜3月あたりだったかなぁと思います
【影響したと思われる作品】
・鬼滅。。。(宇髄さんの武器)
・原神。。。(ショウというキャラに服のイメージがめちゃくちゃ似てる)
・sky。。。(星の声あたりのよく分からんフワッとした感じは完全にこのゲーム)
途中で変わったと思いきや登場人物がまさかの同じという。。。
▼リアル夢小説その①はこちら✨
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▼夢小説②本編です✨
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ボロボロボロのアパート。
中は和室のようでだけれど、茶色くこけているようでよく見えない。
壁はボロボロで、虫に食われたのかところどころ柱のようなものが見えた。
____というところに、私は倒された。
よく分からなかった。
知らない男だった。
そいつは気持ち悪い笑みで私を見つめていて、訳分からずにとにかく「怖い」という思いしかなく、「殺される」と思った。
借金取りか何かなのかもしれない。お金、という単語が耳を掠めた。
恐怖でよく覚えていないが、刃物のようなものを持っていた気がする。
必死の思いで逃げ出して、外へ出た。
「今日は大丈夫だが次に来た時は殺される」とも思った。
快晴。青い空。
本当にボロボロのアパートで、階段の手すりも錆びて落ちてしまいそうなほどだった。
私はすぐそこに警察の車が止まっているのを見て、急いでその車窓を叩いた。
中には警官2人
「どうしましたか」という声に「とにかく中に乗せてください」と必死になる。
追われる、という恐怖があった。
「どうしたんですか」
「脅されて、殺されそうになったんです」
恐怖で怯えながらも、覚えている限りの一部始終を話したけど、断片的なことが災いして、「事件性なし」と判断された。
絶望だった。
どうしようと思った。
次に行ったら、私は殺されるのに。
目の前に助けてくれる人がいるのに、手を差し伸べてくれないだなんて。
絶望感と一緒に、恐怖が募った。
そのアパートの向かい側。
警察車両のすぐ横の小さな2階建ての、古い日本家屋が、私の家だった。
母と2人暮らし。
ちょっと生活は大変だったけど、大学にも行かせてもらったし、しっかり育ててもらったと思う。母さんは毎日働きに出ていて。
平穏だったはずだったのに、そのことが思い出せないほど、自分の家なのに落ち着かなかった。
なんでこんな目に遭ってしまったんだろう、と思った。
私は何もしていないし、
恐怖でよく分からなかったけど、聞かれたことに対して身に覚えもなく、聞き覚えもなかったことだけは覚えていた。
____ドサ。
また、アパートの1室。
「次も来るように」と言われて、数日後か、また訪れた時。
前と同じように畳に押し倒される。
横に刃物。
息ができない。
男は1人。大きくて、恐怖しかない。
ものすごくキレていた。私に会う前から。
目があった途端、私の腕を掴んで引き込んできたのだ。
私はその刃物で、あっという間に着ていた服を引きちぎられて、何も来ていない状態になった。
所々刃物や爪の影響で肌が傷付いて痛い。
そのまま組み敷かれて、「私はこのままこの刃物で刺されて、犯されてここで死ぬんだ」と思った。
そう思うには十分な絶望感と、先日警官から言われた、「あそこのアパートには誰も住んでいませんけど」という言葉。
もうダメだと思ったとき、刃が1本。壁に刺さった。
そこには着物の模様のようなものが入れられていて、身頃部分が色鮮やかに塗られていた。
途中から金色の、桜の枝のような模様が斜めに。
その下は目の覚めるような、綺麗な空色。
ベースは真っ黒、という、なんとも不思議な刀身。
「___なんだ?」男も驚いたらしく、壁に刺さった刀を見つめていた。
私はこの刀を知っていた。
なんでか分からない。初めて見たはずなのだけど、瞬間。とてつもない安心感に襲われる。
「護ってくれる」という、絶対的な安心感に。
「来てくれた」と思った。
それから1秒もたたないうちに、カカカカ、と他にもいくつかの刃が、壁に突き刺さる。
刃の模様はどれも着物の柄のようなものをしていて、鱗のようだったりさまざまだ。
赤が所々入ったのもあるが、オーシャンブルーが基本となって模様を作っていた。
「なんだ貴様」みたいなことを、男が言った。
男がボロボロの服を着ていることに、今更に気がついた。
その言葉は私にではなく、別の空に向かって放たれた言葉だった。
____。
それに対しての言葉は聞こえなかったが、
焦ったのか私に刃物を突き刺そうとする男からサッと私を抱き上げた。
彼が壁を蹴る。
袖をなくした着物のような格好で、左が黒、右が模様の入ったオーシャンブルーの着物。
帯は黒。
下黒のはレギンスのようなものを履いていた。
「逃げなきゃ」と思った。
このアパートの外に警察がいるのは、来た時に確認済みだ。
外に出る。
相変わらずの快晴。
でもどうしたらいいだろう。
真昼に女が裸で歩くだなんて。
こんな状況だから仕方ないのだが、なぜか先ほど切られた部分はさほど目立つわけもなく「襲われた」というよりは「裸で出歩いている」という印象が大きくなってしまう。
そこでふと、右に視線が逸れる。
お爺さんだ。
この前もここに来た時、ニコニコと挨拶をされた。隣の住民かもしれない。
「すみません」と1言入れて、家に入らせてもらった。
私はそこで自分の身体に細工をした。
自分でメイク道具を持っていたのか、おじいさんの家に何か身体に付けられる塗料があったかは覚えていないが、アザに見える跡をたくさん身体につけて、お礼を言って再び外へ出た。
____ドンドンドン。
パトカーの窓を叩く。
服はボロボロで、ほぼ布切れ1枚になっている。
窓に反射された自分を見て、ふと虚しくなった。
「どうされましたか!?」
前とは明らかに違う反応だった。
すぐに開けてくれて、車内に入る。
「そこのアパートで襲われたんです」と言った。前と同じだ。
私の格好を見て不自然だと気づいてくれたのか、対応をしてくれた。
ここまでしないと何もしてくれないんだ、と思った。
ふと、安心した私の視界に、男が入る。
アパートの階段を下ってきている。
「逃げなきゃ」と思った。
彼はどうなったんだろう。
気が気じゃなかった。
どうにかしてパトカーから這い出る。
事情聴取は、まだ途中だったと思う。
急いで家に帰って、服を着て、ありったけのお金と荷物を持つ。
置き手紙をする余裕なんてなかったけど、いつも綺麗な室内が荒れていたら、母さんも何か「とんでもないことが起きた」ことに気付くだろう。
気がついたら車に乗っていた。
グレーに反射する、知らない車だ。
家は貧乏だから車なんてなかったから、私のじゃないと思う。
私は助手席にいて、隣には男の子。20歳くらいかな。
ものすごく綺麗な顔をしていて、スッと長い黒髪と、隙間に覗く蒼の丸いピアスが印象的だった。
名前は知らない。
でも、さっきアパートで助けてくれた人だと思う。
絶大な安心感が、それを証明している。
市役所の駐車場らしきところを抜け、大学の敷地内に入った。
「このあたりかな?」徐行しながら見渡して、彼が言う。
彼の言うことは、私には分からなかった。
「ただ信じて付いて行く」関係性。
「絶対に護ってくれる」「一緒だったら絶対危険な目に遭わない」という不思議なくらいの安心感。
しばらく大学の敷地内を走っていた車が、突然止まる。
どうしたの?と隣を見る。
言葉にはしない。思うだけ。
彼は視線を少しこちらに向けただけで、「大丈夫だよ」と声をかけてくれる。
ものすごく安心する。
大学の棟を結ぶ、連絡通路を目指して、車をすすめていく。
そのまま通り過ぎて中庭に行くのかと思っていたら、左に外れて、ドアの空いた塔の中に向かって行く。
塔の中の、白いタイル張りの床と、数人いる女の子たち。
中にも学生が何人かいる。
大丈夫かな。轢いちゃわないかな。
「大丈夫。ここが入り口だから」
そう言って車を進ませると、あるところでふわ、とした衝撃があった。
シャボン玉のように、一瞬ゆらっと世界が傾いた。
____次の瞬間には、大きなガレージがあった。
そこには6人くらいの男女。
どういうことなんだろう、と一瞬頭が真っ白になる。
アパートでのことでも、頭がついていかないというのに。
「遅いよー」活発そうな女の子が1人、声をかけてきた。
「ごめん、ちょっと長引いた」そう言って、私の方のドアを開けて下ろしてくれる。
「ここなら、絶対安心だから。あいつらは追って来れないし」
彼の1言で、ここから何か始まるんだと、思った。
____これは多分、遠い昔の出来事だと思う。
すごく小さい頃で、別の世界にいた時みたいな、ぼんやりとした記憶。
「思い出」じゃなく「記憶」なのは、窓の中の暖かな光に包まれて母さんと笑い合っている女の子が私だ、という確信があるから。
魂が抜き出ているのか、別の世界線から見ているのか分からないけど、私は大きな窓の外にいた。
細かい装飾のされた、金色の窓。夢の中みたいな光景だ。
私は、私が母と2人で楽しそうに笑い合っていることを確認して、窓を伝って行く。
最初は建物だと思った。ずいぶん高いところから、2人を見ていたせいで。
だけどしばらく窓が続いて、窓1つごとに別の人が中に映った。
とても不思議な感覚。
これから私は「星の声」を聴きに行く。
誰にも知られない、秘密の場所だ。私だけの。
その頃の私は小さくて、まだ5つくらいだったと思うけど。
毎日隙を見ては抜け出して、夜に「星の声」を聴くのが日課になっていた。
道は覚えてない。身体が覚えているから、頭で考えなくてもいい。
瓦礫の道をよじのぼって。裸足で歩いた。
服はボロボロになった、膝丈くらいの半袖のワンピース。
髪は肩につくくらいだけど、___貧しかったんだろうか、何日もお風呂に入っていなくてペシャンコになっている。下の方はボサボサ。
そんな私は石でできた階段を登り、大理石の白いの門の上を通り、宇宙空間のように浮かんだ、「世界の歪み」のようなところにたどり着いた。
___ここが、「星の声が聴ける」場所。
周りには宇宙空間のように星があって、ここに来るまでにもふわふわ浮いている石の煉瓦を飛びながら歩いてくる。
もし途中で大人に出くわしたら、「危険だから行くな」と言われるのは承知の上だ。
遠くの方に、さっき出てきた、母さんと私のいる大きい窓が見える。
ここまではかなりの長旅なのが、その窓の光しか見えない位置にいることで理解できた。
私の目の前か、もっと遠くか。
その辺りにも、赤い建物がある。
窓はない。柱だけ。
でもその建物には行くことができない。
私の今いる場所と、その赤い建物の間には見えない歪みがあって、まるでとてつもなく、気の長くなるような距離を、一気に凝縮しているようだった。
近づくと、磁石のN極同士を近づけた時のように反発するので、先に進めない。
____そういえばさっき、車が建物を通り過ぎた時。
歪む瞬間に同じような感覚が襲ったのを思い出す。
____まぁいいか。
私はその場に腰を下ろした。
石の煉瓦が宙に浮いている場所だけど、ここは少し広くなっていて、おまけに丸いお鍋のような、不思議な形の灯篭のようなものもある。
私はその炎の近くにいつも腰を下ろす。
何もない空間。
何もない時間。
自然の歌声に耳を澄ませる。
ふとそこに浸りながら、彼も連れて来たいと思った。
アパートで私を助けてくれた人。
名前は知らないけど、きっと気に入って切くれるはずだ。
「____どうしたの?」その声に、我に返る。
私を助けてくれた時のそのままの姿で、そこにいた。
顔は、やっぱりよく分からないけど、大きな瞳が印象的で美人だと思った。
髪型はぼんやりとしてよく見えない。
車で隣にいたのも彼だったと、なんとなく確信があった。
服装はあの時と同じ、着物のようなものに黒い帯、着物の下にすらっと伸びる細い脚と、そこから覗く白い足首。
こんなに細くて、どうしてあんなに戦闘能力が高いのか、と思う。
案外力強かったしな、と助けられた時のことを思い出す。
出会ったのはいつだったか覚えていないけれど、いつのまにかそこにいて、私を護ってくれる存在で。
自然と惹かれていったことは言うまでもない。
私がフラッシュバックで落ち着かなくなった時は、「大丈夫だよ」って抱きしめてくれて。
その暖かさにものすごく安心して、支えられて、ここまで来れた。
いつまでも一緒いたいな、と思った。
大好きだと思った。
私は彼の名前を知らないし、彼も私の名前を呼んではくれないけど。
それがとてつもない「安心感」に繋がっていた。
「一緒に行きたいところがあるの」
初めて、声が出た。
自分ではじゃべれないものだと思っていたけど。
「いいよ」彼が瞳を細める。
私たちがいるのは、大きい窓の外だった。
いつの間に私は大人になっていて。なぜかここにいた。
あの金の装飾のついた、大きい窓。
相変わらず、そこからは温かい光が漏れていて。
「どこに行くの?」
「星の声を聴きに行く」
「星の声‥‥‥‥?」そんなの聴けるのか、と瞳を丸くする。
聴けるも聴けないも、実際にそういう場所なのだから仕方がない。
「行ったら分かるよ」
ずっと思ってたんだ。2人で見たいって。
一緒に歩いた。
ものすごく遠い記憶だったのに、案外覚えているものだ。
石の階段にたどり着く。
大理石の白い門が連なっている。
よく見た光景だ。
登っている途中、ゴゴゴゴ、と地響きが轟いた。
何が起きたのか。
周囲の石や瓦礫が、宙に向かって浮かんでいく。
階段がひび割れる。
あと、もうちょっとなのに。
この門の上を通れば。少しなのに。
「____!!」
彼が何かを叫んで、私を庇って____。
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。。。というところで目が覚めました(T ^ T)
あの後どうなったんだろうなぁと思うし、
ここまでの間の物語は一体どこに置いてきたんだろうと思いますが、夢の中なのでよく分かりません笑笑
文章を編集したら日時のデータが上書きされちゃったので正確には覚えていませんが、
この夢を見たのは多分、2〜3月あたりだったかなぁと思います
【影響したと思われる作品】
・鬼滅。。。(宇髄さんの武器)
・原神。。。(ショウというキャラに服のイメージがめちゃくちゃ似てる)
・sky。。。(星の声あたりのよく分からんフワッとした感じは完全にこのゲーム)