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リアル夢日記(小説にしてみた)
今朝見た夢です。いろんなものがごちゃ混ぜ。
【▼ 本編 ▼】
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「な、何故、こんなことに___」


「オマエガ願ッタカラダ、全テ______」女が問いかけると、目の前の"それ"が答えた。


人間の言葉ではないのかもしれない。あまり聞きなれない、脳に響く声。

耳鳴りが襲う。

ぐらぐらとして、自分が今どこにいるのか、立っているのかすら分からなくなる。



"それ"の姿が変わっていく。もう何回目だろうか。

最初は私と同じ、人間の形をしていたはずだった。



それがいつからか、目玉が現れて。

ギョロギョロとしていて、気味が悪かった。

私が"それ"に願うたび、目玉は段々と増えていった。

今はもう、人の形すら成していなかった。

もとあったはずの形はなく、
日に当てたアイスクリームのように溶けている。

またボコボコ、と目玉が増えていく。

むしろ何かの形というより、ぎょろんとした目玉だけで構成された何かに慣れ果てていた。



選択を間違えたと気が付いたときには、もう遅かった。

もう、手遅れだったのだ。



地面が波打つ。

いつの間にか、壁に覆われていた。

そこはどこかの臓器の中のように、うごめいていて。

赤、白、緑、灰色、紺色、朱色。。。さまざまな色が混ざりあってマーブル状になったその場所は、とても気味が悪かった。



私はもう、ここからは出られない。

誰かが、来ないと。



◇  ◆  ◇



助手が居なくなったのは、少し前のことだった。

この市役所に目撃情報が出て、一緒に調査に来ていた。



「あっちかもしれません!」と階段を上ったきり、一向に戻る気配がなく。

追いついた頃には、彼女はどこかに消えていた。

それが怪異の仕業であることは明白だった。

しかも、思ったより成長しているらしい____ということが、その気配のなさと妙な禍々しい空気で分かる。



かなり巧妙に隠れているみたいだ。



拳に力を込めて、探偵は階段を上がっていった。



◇ ◆ ◇



「____!!」ぱち、と目が覚める。


クリーム色の天井。

ふかふかしている。ベッドかもしれない。

確かここに来たのは、探偵と一緒だったはずだ。




ふ、とベッド脇に何かの気配を感じたとき、薄暗い場所に移動していた。






「ここ、どこ________」


気がつくと、
公園の外か、駅にありそうな薄暗いトイレのような場所。



私、トイレに入ったんだっけ?と記憶を探るけれど、よく覚えていなかった。



普段から忘れっぽいというのは自覚している助手だったが、
この現象はなんだかおかしいことも、同時に気がついていた。

いつもなら、すぐに探偵が深いため息をつきながら、少し迷惑そうな表情《かお》で、後ろからついてくるはずなのだ。

「前に行かれちゃ困る」「お前には退治できない」と言って。

薄紺色の髪に、金色の瞳をした彼が、後ろから来るはずなのに。



____何もなかった。







いつもならばここで「どうしよう」とあたふたして、探偵に助けを求めるのが定番なのだが、今回はそんな不安もなかった。

なぜか落ち着いていて、穏やかな気持ちだった。




周りは薄暗くて、淡い光が少し差している程度。

タイル張りだからトイレみたいだけど、便器はない。

ただの空間。



ふわ、と空気が動く。

この4畳ほどの空間に、他にも人がいるというのだろうか。




「____っ」




気配のした方を振り向く。

薄明かりに照らされて、白い肌が浮かび上がった。



切れ長の瞳、鋭い眉。赤い唇。

黒い髪をくるくると巻いている。

上品な空気の、びっくりするくらいにきれいな人。



頭には金色のティアラ。

服は黒と、赤と、金と、白のドレス。

襟やドレスの前のところに、ハートマーク。




____間違いない。探していた、人物。

助手がいくら忘れっぽいと言っても、
毎回の探し人____ことの発端に関してはよく覚えていた。

今回の依頼は、『消えたハートの女王』。

依頼主の女の子が「このまんまじゃこの絵本が終わらないの!」と必死に懇願してきて。

「子供は嫌いだ」と言っていたはずの探偵が、あまりのしつこさに調査を開始した。





「____お前も、迷っタか?」



きれいな声だった。

その瞬間、ぐら、と身体が傾く感覚が襲ってくる。



「____大丈夫か?」倒れそうになるわたしを、ハートの女王が支えてくれる。


「はい、平気です」わたしが言うと、唇が優しく弧を描く。


「迷った、って____?」


「我も、迷ってしまった。もうモトに戻レない」その瞳は、どこか暗い場所を映していた。





◇  ◆  ◇





「____くそ、」

探偵は舌打ちをして、また階段をかけ上がっていく。



次のエレベーターは、4階か。

それにしても、この市役所は何階あるんだろうか。

同じような場所をぐるぐる回されて、平衡感覚が狂いそうになる。



探偵は怪異を追っていた。

助手が消えたであろう空間____2階女子トイレ。

その壁から気配を探っているのだが。

ぐるぐると色々なところをすり抜けてやがる。

今はエレベーターづたいに上へ上がっているみたいだが、そうかと思えば壁に入って横に移動したりする。

まるでスライムのように自由自在に形を変えて。



ああ、本当に迷惑極まりない。

ここに来て、少し依頼を受けたことを後悔したが。

大事な助手をさらわれてしまった。

あいつは影響されやすいんだ。遭遇してないといいが。




4階にたどり着く。

もう少しで追い付きそうなところで、壁にもぐり込んでするりと抜けられてしまう。

この市役所は、もう使われていない。ということは、エレベーターは動かない。

俺の足と体力が頼りになる。


それだけならまだいいのだが、
所々でぐにゃぐにゃと自由が歪んで別の場所に飛ばされてしまう。

これが一番厄介だった。

自分が今どこにいるのか分からなくなる。



一刻も早く、怪異の懐に潜り込まなければ。

取り返しのつかないことになる。




◇ ◆ ◇



____一方その頃。

助手はハートの女王と一緒に、子供の世話をしていた。

助手にもなにが何だか分からないのだが、
突然明るくなったと思ったら、目の前にドアが現れた。

ドアを開けて外に出ると、
わぁっと子供たちが押し寄せてきたのだ。

子供たちは2才~6才くらいで、20人近くいるだろうか。
スペースはかなり広くとられていて、
ジャングルジムや絵本の入った本棚、トランポリン、大きな積み木など色々なものが置かれていた。

ハートの女王が嬉々としてその場に飛び込んだのは意外だったが、絵本を読み聞かせしているところを見ると、子供が好きなのかもしれない。

子供たちからも人気で、数人が彼女の足元に座って大人しく話を聞いている。




「みてー!!かけたー!!」左側に座っていた女の子が画用紙を見せてくる。

そこには色々な色の、イノシシみたいな生き物が何匹か描かれていた。


「上手だねぇ」一人っ子だから、こうやって小さい子に慕われると、ほっぺたがとろけちゃう。

何でこんなにかわいいんだろうなぁ‥‥‥。




____バンッ。



突然の大きな音に振り向くと、開け放たれたドアに、探偵の姿が。


「____はぁ、探したぞ」


助手には彼がなぜそんなに傷だらけなのか、疲れているのか理解できなかったが。

次の瞬間、どこか別の場所に飛ばされていた。



一つだけ、疑問があった。

飛ばされる瞬間、ハートの女王が「サワラギ、」と探偵の名を呟くのを聞いたこと。

なぜ彼女が、探偵の名を知っていたんだろう。

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