イラストメイキング(雪国のねずみ少女)
2021-02-26
初めまして、イラストレーターの「みど」と申します。今回は1〜10までの工程を全てSAIで仕上げていきます!
筆や水彩筆の繊細なグラデーションが美しく表現できるSAIを使い続けてかれこれ10年以上になります。
そんなSAIの魅力とこちらのメイキングが少しでも皆さんの絵を描くお役に立てれば幸いです!
今回は「雪国のねずみ少女」というテーマで制作していきます。
キャンバスサイズは大体2000~3000pxの間で制作しています(今回は2000×2600pxサイズでした)
まず最初に大まかに人物のあたりを描きます。
その上から新規レイヤーで髪や洋服を線の色を変えて足していきます。
身体の形がはっきり分かるので、服を着せやすいです。
色を乗せ、背景など付け足して大体のラフが完成です。
全体の完成イメージを優先しているため、細かい部分はかなり荒く描いてます。
詳細なディテールに関しては線画の段階で描きながら固めていくのでラフをほとんど正確になぞらずに力技で補っていくことが多いです(あまりオススメできません)
線画作業の際はスムーズに線画を描けるようにするため、手ぶれ補正は大体10前後と強めに設定しています。彩色の時は若干値を下げてます。
線画に使うペンは有志の方が配布されていたペン設定(https://www.pixiv.net/artworks/44370569)をお借りしています。
鉛筆のようにざらざらでアナログっぽい質感が出すことができて線画に重宝しています。
こちらがラフをなぞっている状態です。描きやすいように透明度を10~20%程度に落としています。
自分はラフに色が付いた状態で線画を描きますが前述の通りほとんどラフに沿ってないですね…
線画の完成です。
遠近感を出すために右腕のように手が前に出てる部分などは若干線を太くしています。
細い部分と太い部分があると、線画にメリハリができて絵として映える仕上がりになるかなと思います。
↑線画を太くしている部分はおもに輪郭線が多いです。
線画のレイヤーはこのような形で構成しています。
はじめに人物の外側に当たる部分を自動選択で選択します。
次に「選択領域の反転」をすると、人物の選択が行えます。
バケツで塗りつぶして人物のシルエットを塗れました。
顔の面積より少し多めに色を置きます。
その後顔の外側部分を選択し、削除するとムラなくキレイに顔に色を置くことができました。
髪の毛も同様に線画よりはみ出して色を置きます。
そして先ほど作った人物シルエットのレイヤーをctrlキーを押しながらクリックすると、クリックしたレイヤーの選択範囲ができます。
これを使い選択範囲を反転して削除すると、人物からはみ出た部分だけ簡単に消すことができます。
↑の手順を繰り返し下塗りの完成です。
また、各パーツの色に合わせて線画の色を変更させたり明るくしたりするとより線画を絵に馴染ませることができるのでオススメです。
SAIで色を塗るときは基本的に筆、水彩筆のツールのみを使用しています。
筆のペン設定に関しては未だに模索中ですが、今回はこちらの設定で色を塗っていきました。
筆ツールで塗った部分に水彩筆をさっと加筆するだけで、ぼかしを使わずに簡単かつとても絶妙なグラデーションが生み出せます。これがSAIの魅力の一つですね!
瞳の周りの線画を消して、ガウスぼかしで瞳をぼかします(×2.0~3.0前後)
一色影を加えます。
先ほど入れた影の上に影より少し明るいグレーで色を乗せます。
瞳に透明感が少し生まれました。
瞳孔部分と瞳のふちを先ほど入れた影より更に暗い色で描きます。
「加算」レイヤーで瞳の下部分に光を入れます。
これで大まかな瞳の塗りができました。最後にハイライトを足して瞳に命を吹き込みます。
色のまとまりが無くなってしまうので肌、髪、服など各パーツのレイヤーは基本的に3枚以内(元色、1影、2影)に収まるように影を塗っていきます。
鼻の上部分を残して1影で全体的に薄く色を乗せます。
2影で髪と接する箇所や首下などより暗くなる部分に色を乗せていきます。
「乗算」で頬と鼻に薄く赤い色を置きました。紅を足すことにより女の子っぽさがでましたね。
頬と口元に小さくハイライトを乗せて艶を出しました。
これで肌の完成です。
今回肌に使用した色です。
次に髪の毛を塗っていきます。
まず光が当たる左側を中心に明るい色をエアブラシでふんわり乗せます。
次に1影で髪の束を意識しながら大まかに塗っていきます。
最後に2影で影になる部分を思い切って塗ります。これで一気に立体感が出ました。
肌や髪同様に服や帽子も同じように塗って大体人物の色が塗れました。
自分の場合、人物の色塗りは影入れ含めほとんど通常レイヤーで作業を行っています。
ファーや服などそれぞれの質感を意識しながら塗ると説得力のある絵になると思います。
光源は今回左上を意識して着色しています。
ワンポイント
影が深く落ちる部分は、多くなると重たい雰囲気のイラストになってしまうので、
画像内の青丸で囲った部分に青系の明るい差し色を置きます。
明るい色を少し置くだけでも抜け感が生まれました。
今回は冬の森をイメージしています。
木のシルエットをざっくり適当に描いていきます。
↑で描いた木の下にレイヤーを追加し、薄い色で更に木を植林していきます。
画面下に乗算レイヤーで暗い色をグラデーション追加します。
背景レイヤーを統合し、ガウスぼかしで強めにぼかします。
木のシルエットだけをざっくり描きましたが、ぼかしたことでそれっぽい背景になりました。
今度は手前の枝を描いていきます。
手前側にあるので、背景よりも細かく描きます。
まず、背景同様枝のシルエットを描いてきます。
次に明るい色で枝の模様を描いて立体感を出します。
暗い色で枝に影を入れます。
ハイライトとして部分的に明るい色と反射光を加えます。
最後に木の実と雪や鳥を追加したら冬の木の枝の完成です。
人物と背景を馴染ませていきます。
まず、この色(H:24 S:48 V:190)を乗算レイヤー30%にして人物の上に乗せます。
次に加算レイヤーで光が当たる部分に暖色で色を乗せていきます。
通常レイヤーに戻すと色を乗せている部分はこのような感じになります。
影として暗くなる右側に乗算レイヤーで更に色を乗せ、より明暗をはっきりさせました。
枝の影もここで加えます。
スクリーンレイヤーで人物の輪郭にエアブラシで薄く色を置きます。
背景に馴染みふんわりした雰囲気になりました。
加工のレイヤー構成はこのような形になります。線画、着色を含んだレイヤーフォルダ(人物)の上からクリッピングマスクで加工をしています。
加工前と加工後で比較してみると、温かい雰囲気と明暗がプラスされました。
背景と人物の上から環境光を入れます。
矢印に合わせてスクリーンレイヤーで暖色のグラデーションを加えました。
上からテクスチャを被せます。
レイヤー機能の上にある特殊効果から用紙質感を選択し、レイヤーモードをオーバーレイに設定します。
適用前と適用後のイラストを比較すると紙っぽい質感がほんのり足されました。
最後に人物後ろの枝をぼかして遠近感を出します。
画像を全て統合して完成です!
いかがでしたでしょうか?
SAIは本当に筆の質感やノリが美しく出るので、厚塗りなどの描き方にもピッタリはまります。
2で機能が増えたことにより画面上で表現できることも更に増えました。
今回のメイキングでSAIの魅力と描き方が少しでもお伝えできていたら幸いです。
ありがとうございました!