「タイムケンネル」第2期02回
3 years ago
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カツィール開発部長「本日は当期の記念すべき初回飛行だから、有名人のところに行ってもらう。520年前のスペインに飛んで、コロンブスにインタビューしてきてくれ。」
トニー「了解です。」
(ブーーーン、タイムワープ)
トニー「あ、コロンブスさん、あなたは今や誰でも知っている有名人で、多くの人が尊敬しています。今日お会いできて光栄です。」
コロンブス「尊敬とかそんなものは1リラにもならんわ。黄金と財宝を返してくれ。」
トニー「あなたは西回り航路を開拓して新時代を作ったのですよ。あなたの前後で世界が変わりました。」
コロンブス「ふーん。」
トニー「ところでまだ多くの人々が地球は平面で、その外側に行くと大きな滝の下に流れ落ちると信じていたのに、どうしてあなたはあえて西回り航路に挑んだのですか?」
コロンブス「まあ教会もうるさかったしな。だけど私は月食を見たんだ。それで地球は丸いと確信したね。私は「良い子」じゃないから、人の言うことよりも自分の眼を信じるのだ。アジアの黄金やインドの香辛料も独占したかったしな。」
トニー「なるほど、あなたの確信の程は分かりました。でも「もし丸いのなら裏側の人はどうやって歩いているのだろう」とか、疑問に思いませんでした?」
コロンブス「私は学者じゃないんだよ。じゃあ聞くが、子供はどうやって生まれてくるんだい。子供のおなかにさらに小さな子供が入ってくるのかい。分からないことなんて、たくさんあるんだよ。」
トニー「なるほど。で、確信して、それからどうしたんですか。」
コロンブス「スペインのイザベラ王妃にダメもとでほらを吹っ掛けたんだよ、航海には船も金も要るからな。そうしたら王妃様、こともあろうに真に受けて援助を申し出てきたんだ。もう引っ込みがつかなくなったな。」
トニー「体よく自縄自縛になった。それで?」
コロンブス「仕方なくごろつきどもを集めて出港したよ。最初は適当にアフリカの西海岸にでもたどり着いて、そこで珍奇な品物を集めて帰ってごまかす予定だった。」
トニー「我々の時代のあなたの偉人像と、ずいぶん異なりますね。」
コロンブス「そうしたら未知の大陸に着いちまった。驚いたよね。瓢箪から駒だよ。でもそこで「オレはついているんだ」と気づいたから、強気に出て現地人から金や貴重品を取り上げて、無事に帰ってきたというわけさ。」