小説挿絵『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』 LEVEL 3
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4年前
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小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425
◆【櫻の宵】*スター特典作品より、挿絵描かせて頂きました。
(この【櫻の宵】からもう一点描かせて頂く予定です)
https://estar.jp/extra_novels/25021378
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桜の花びらに囲まれて、その少年は彼女を見上げる。
まるで一服の絵画のごとき光景に、彼女は目を瞠(みは)った。
きれいな子だった。
男の子だと一目でわかったけれど、清浄な空気が彼を包み込んでいるような、
この世のものではないような、
まるで桜が見せた幻と錯覚してしまいそうな儚さと危うさが同居する、そんな美しさがその少年にはあった。
その光景は一瞬で彼女の目に焼き付き、体の奥深くに眠る何かを揺り動かした。
「だれも……呼ばないで…くださ…」
途切れがちな声は掠れ、荒い息づかいに掻き消えそうに弱かった。
***
(*小説お借りしています。