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水彩風イラストのテクニック

2021-06-25

今回はCLIP STUDIO PAINTでアナログ水彩風のイラストを描いてみます。

基本的には、乗算レイヤーに自分の気に入ったアナログ風ブラシで
①塗る
②ぼかす・のばす
の繰り返しです。
コツは、ぼかしすぎないこととハイライトとの境界に強くエッジを残すことです。

どのブラシを使っても塗り方は変わりませんので、自分の気に入るアナログ風ブラシを発見・作成して気軽に試してみてください。

自作ブラシやテクスチャを使うと個性が出ますが、今回の講座では誰でも再現できるようにプリセットや無料で配布されているツールをメインに使っています。
(線画はクセに合わせて調整しているので多少違いがあると思います)

<今回の主な使用ツール>
【線画】プリセットのリアル鉛筆・デッサン鉛筆や自作など、お気に入りの鉛筆風ツール
【色塗り】鹿水彩セット内 鹿下地・鹿水彩
【のばし】あったかアナログ画材内 △Watercolor6/質感水彩馴染ませ
【水彩風テクスチャ】
水彩マーカー●▲■とテクスチャーセット内 レイヤーセット/水彩テクスチャー
再生紙印刷風加工アクションセット内 紙質:再生紙風

1. ラフ制作

制作が春前でしたので、花より団子的イメージで
①食べ物擬人化
②食べ物を美味しそうに食べる構図
を2点考えました。今回は②のイメージが固めやすかったのでこちらで進めていきます。

ざっくりでいいですがラフを作る際は影まで考えておくと制作をスムーズに進めやすいです。

構図に関しても、今回は下が水平な三角形(ピンクの線)の安定感ある構図をメインに定め、サブモチーフを中央あたり(青い四角)に配置する方向で進めます。
イラストを描きたいけれど構図を決めるのが苦手…という方は構図原則について学んでみると色々とヒントがありますのでおすすめです。

水彩風イラストのテクニック
2. キャラクター線画・色ベース製作

まずは1枚、乗算のラスターレイヤーを作り、メインのキャラクターを鉛筆風ツールで線画製作します。
パーツごとにレイヤーを分けて描く方法もありますが、今回はアナログ風ということで1枚レイヤーに描き切りました。この辺は個人のやりやすいように進めましょう。
描けたら、線画のゴミやはみ出しを見つけて消しゴムをかけます。レイヤープロパティで境界効果をつけると見つけやすいです。

水彩風イラストのテクニック

線画レイヤーの下に色レイヤーを作成します。
キャラクター全体を肌色の一番薄い色で塗りつぶしたベースレイヤーを作り、その上に色ごとに別レイヤーを作っていきます。
色レイヤーに関しても、線画の時と同じく境界効果でゴミ取りをしておくと仕上がりが綺麗になります。

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3. 着彩

ベースレイヤーの上に乗算レイヤーをクリッピングします。

肌の赤みの部分を【色塗りブラシ】(鹿水彩)でグリグリと色をおき、【のばしブラシ】(△Watercolor6/質感水彩馴染ませ)でぼかします。

水彩風イラストのテクニック

頬や肘のような赤みをつけるだけの部分にはエッジが残らないようぼかしますが、首や物の影になる部分などは濃く塗り、乗算レイヤーを追加して境界部分には線画を描き足したり水彩境界をつかったりすることでエッジが残るようにします。
後から色の調整などは出来ますので、次に髪の色塗りに入ります。茶色く塗りつぶしたパーツレイヤーを一旦、レイヤープロパティで白色に変更します。これが髪のベースレイヤーになります。

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肌の塗りと同じく、髪ベースレイヤーの上に乗算レイヤーを作成し、【色塗りブラシ】でグリグリと色味をつけたい部分を塗り広げます。髪艶、ハイライトに関しては基本的に塗り残すことで表現します。(細かい部分は後からハイライトを描き足します)
もう1枚乗算レイヤーを作りハイライト周りにエッジを作ります。ハイライト部分を選択範囲で選択→反転させて塗ることでハイライトがぼやけません。ハイライトの反対側は髪色と馴染ませるため【のばしブラシ】でぼかします。

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その他のパーツも髪のように進めていきます。リボンが単色では味気ないのでドットを入れることにしました。
リボンレイヤーの上に薄い色で塗りつぶしレイヤーを作り、レイヤープロパティでトーンを選択→網の設定→円→トーン線数を好みのドットの大きさで選択します。すると白黒のトーンレイヤーができました。
トーンレイヤーをラスタライズし、輝度を透明度に変換、レイヤーカラーを白に変換することで白いドット模様ができました。「ラスタライズ」と、「輝度を透明度に変換」はそれぞれの機能をクイックアクセスに登録しておくと便利です。

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上記工程を繰り返すことでキャラクター全体の塗りが完了しました。

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4. 全体影レイヤーを作る

線画・色レイヤーの上に乗算レイヤーを作り、1色で影をつけます。通常レイヤーをクリッピングし、軽く光の当たる部分は黄色み、奥まった部分は青みのある色を塗り、白色でぼかしをつけます。
上記のパーツ塗りと同じで、濃く塗りたい部分は乗算レイヤーをクリッピングして塗り足していきます。

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キャラクターに重ねるとこんな感じになりました。

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5. 背景作成

背景用のストライプを作ります。リボンのドットと同じく、薄い色で塗りつぶしレイヤーを作り、レイヤープロパティでトーンを選択→網の設定→線→角度を90度に設定→トーン線数を好みの太さで選択します。すると白黒のストライプレイヤーができました。

トーンレイヤーをラスタライズし、好みの色合いに変更します。ラフのオレンジがかった色でも良いのですが、ワンピースのアクセントも髪の色も同系色なので爽やかなグリーンの色に変更しました。

背景のレースレイヤーを作成します。ケーキの底に敷いてあるイメージです。
まず画面の中央を割り出すため、表示→グリッドの表示→グリッド・ルーラーの設定→原点を中央に設定します。グリッドが細かすぎる場合はグリッド設定で間隔を広く設定します。

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図形定規の円形を選び、中央から開始にチェックした上で描画します。好みのレースブラシを定規の線に沿ってはしらせ、中央は白色で塗りつぶしました。定規に沿った線を引くには、ブラシツールのサブツール詳細→補正→スナップ可能にチェックを忘れないようにしましょう。
よほど上手に調整しないとレースの描き始めは綺麗につながりません。キャラクターで隠れる部分に隠すように配置しましょう。

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6. 食べ物製作

キャラクターと同じく、ラフ→線画→着彩の工程です。少し手間にはなりますが、配置の変更も想定して他のものに隠れる部分も描いておくと後から楽です。

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白ベースレイヤー→乗算レイヤーで着彩+影+ハイライトのレイヤー構成です。

ロールケーキのようにざらざらのもの、ツヤツヤしていないものの表現は鉛筆ツールの活用をお勧めします。普通に色鉛筆のように塗ってみたり、サブツール詳細→散布効果→粒子サイズや密度の調整などで調整してみたり、色々試してみてください。

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食べ物が描けたら先程述べたように配置の変更などを考慮してレイヤー変換→素材レイヤーに変換をします。これでこのレイヤーに直接描き込みができない代わりに、変形をしても画質が落ちないようになります。

水彩風イラストのテクニック

実際にラフの通りに配置したのがこちら。

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ラフのとおりだとごちゃごちゃして見えるので配置を変更し、全体を表示し色調補正、最後に水彩テクスチャをのせたものが完成画になります。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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