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日記
塾が終わり、家に帰ろうとしていた時の事だった。私は、先月のテストの結果表を抱え、憂鬱な気持ちで真っ暗な帰路についていた。暗さで自然と不安と焦燥感が搔き立てられる。また憂鬱が蠢き始めたので、道草が生い茂る中で立ち竦んでしまった。集合住宅の家の明かりが遠くに見えた。孤独な私を嘲笑うような光の群れから目を逸らす。不意に強い光が私を照らした。それは、暗さで存在に気付かなかった壊れかけの街灯だった。街灯は不規則なリズムで明滅を繰り返していた。灯りを待つように、群れた虫は街灯の近くに飛び回っていた。街灯は曲がった腰で、使命を熟そうと明滅していた。老体に鞭打ち、孤独に死と闘っていた。街灯の明滅が弱まり、寿命を迎えようとしていることを知る。私は街灯を抱きしめたいと思った。君は頑張ったんだ、もう孤独じゃないよ、と言って強く抱きしめたいと思った。遂に街灯は灯りが点かなくなった。虫はもう他の灯りの方へ飛び立ってしまった様だ。…私は街灯の様になりたいと思った。

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