イラスト・マンガの投稿&SNSサイト - アートストリート(ART street) by MediBang

メカデザインがすごすぎる!海外のベテランイラストレーターE.J. Suさんにインタビュー

2021-05-07

『トランスフォーマー』や『ATOM』のコミカライズもされていた!?業界歴20年以上のプロのイラストレーターのE.J. Suさんにインタビュー!高い技術と豊富な経験を持つE.J. Suさんに、その仕事ぶりや、イラストレーターとしてのアドバイスなど、普段はあまり聞けないお話を聞いてきました!

有名タイトルにも携わる、その仕事ぶりとは

ー軽く自己紹介をお願いします!現在はどんな仕事をされてますか?

E.J.Su: はい、私の名前はE.J.Suです。台湾で生まれ、14歳のときにアメリカに移住しました。
私のバックグラウンドは企業デザインにありますが、子供の頃から漫画を描いたり作ったりしたいと思っていました。
現在はフリーランスのアーティストとして活動しており、主にIDWやMarvelのコミックブックや表紙を手がけています。
他にも、オモチャ、アニメーションや製品などのコンセプトデザインも行っています。

ーよろしければ『トランスフォーマー』、『アベンジャーズ』、『ATOM』(『鉄腕アトム』が原作のハリウッド映画)関係の仕事について少し教えてください!

E.J.Su:そうですね、2005年にIDWがトランスフォーマーのコミックブックのライセンスを取得した際、幸運にも私はそのメインタイトルを担当することになりました。
第1世代のトランスフォーマーの多くを現代風にデザインすることができるので、私にとって本当に面白いプロジェクトでした。既存の玩具をベースにしなくてもよかったので、まるでお駄菓子屋に行く子供のような気分でした。
トランスフォーマーがきっかけで、マーベルの「アベンジャーズ・メカ・ストライクフォース#1」のバリアントカバーを依頼されました。このシリーズは、アベンジャーズがハルクバスターのようなメカスーツを持っているという全く新しいシリーズでした。

台湾で育った私は、手塚治虫氏のコミックやアニメに大きな影響を受けました。IDWが『鉄腕アトム』の3Dアニメのコミック化のライセンスを取得したとき、この作品は私にとって非常に思い入れのあるもので、絶対に参加しようと思いました。

ー沢山の作品に携わっていたんですね! 『トランスフォーマー』のアニメや漫画のアーティストやコンセプトデザイナーをしていた時、一番気を付けていたことはどんなことですか?

E.J.Su:初期のトランスフォーマーのアニメでは、ロボットがロボットモードに変形するとき、アニメーターはロボットがより人間らしいプロポーションになるように、車両のパーツをリサイズしたり、ほとんどの場合は隠したりしていました。
私がトランスフォーマーをデザインする際に重視したことの一つは、変形時に車両のパーツがそのままに残る事でした。すべてのパーツが比例して変形し、ロボットのどの部分が車両のパーツなのかがわかるようにしなければなりません。私が目指したのは、実際に変形させることができるものです。

ー『トランスフォーマー』、『アベンジャーズ』、『鉄腕アトム』はかなり有名なタイトルで歴史も長く、グッズもたくさんあります。そんな作品の漫画版やおもちゃなどに関わることが出来たのはワクワクしましたか?逆にプレッシャーになりましたか?

E.J.Su:このような歴史のあるプロジェクトに携わることは非常に嬉しいことですが、同時に、その作品に熱狂的なファンが常に存在し、自分の作品を細部まで分析してくれるのです。
特にトランスフォーマーへの参加は大きなプレッシャーでした。トランスフォーマーのコミックスは、ドリームウェーブ社の長期にわたる連載を終えた後でしたが、私はドリームウェーブ社のスタッフの一員ではありませんでしたし、ファンにはすでにお気に入りのアーティストがいます。
聞いたこともないような人が絵を担当するとは誰も思っていませんでした。「緊張した」という言葉では言い表せないほどの気持ちでした。

CREATOR RANK CREATOR

Transformers #29 Variant Cover colored version

E.J.Su

フォローする

ーイラストレーターになる前は工業デザイナーだったんですか?

E.J.Su:私はもともと絵を描くのが好きだったので、幼い頃はデザインについてあまり考えていませんでしたが、機械的な思考は常に私の中にあったと思います。
私は物を分解して、その仕組みを研究するのが好きなんです。物の仕組みは私の興味を引くので、デザイナーはいつも私の中にいたのかもしれません。どちらが先かを知るのは難しいですね。

ー昔から物事の仕組みに興味があったんですね。 いろんな3Dツール(CADツールやBlenderなど)にも精通している様ですが、デジタルで絵を描く時にどれくらいの頻度で3Dモデルを利用していますか?どんな時に必要だと感じますか?

E.J.Su:インダストリアルデザイナーとして活躍していた頃、私は毎日のようにCADを使って仕事をしていました。製品のデザインに入る前に、メカニカルエンジニアの作業をすることが多いですね。
漫画を描く際には、ストーリー中に何度も描かなければならない機械的なオブジェクトに出会った場合、パースの設定を省くために、3Dモデルを作成して使用します。
例えば、最近担当した本では、数百人の兵士が同じ近未来的な武器を持っている戦闘シーンや、近未来的な戦車が10〜20ページにわたって登場します。これらの戦車や銃を、角度や視点を変えて何度も描き直すとなると、かなりの時間がかかります。このような場合、3Dは完璧なソリューションだと思います。

ー3Dツールに詳しいE.J Suさんは3Dモデルがなくてもパースなどの基礎は熟知してるかと思います。
最近は3Dモデリングのハードルが下がり、無料ツールも増えているので、パースなどの勉強をせずに3Dに頼るクリエイターも増えるんではないかと思います。
そのことについてどう思いますか?3Dに頼らずにパースを正確に取れることって大事だと思いますか?

E.J.Su:私は、基礎の理解を省略することに賛成していません。 仮に、アーティストが基本的なことを学ばずに3Dツールに頼っていたとしたら、そのツールが使えないときにできることが限られてしまいます。
例えば、最近の若いアーティストは、どこでも手に入る3Dポージングアプリで解剖学を学ぼうとしていますが、3Dポージングから解剖学を学ぶことはできません。人間の構造には、3Dではまだエミュレートできない絶妙なディテールがたくさんあります。
3Dは、少なくとも物事の仕組みを基本的に理解している人のためのツールなのです。

この特集をシェアする